保存的治療で症状が軽快した高齢者外傷性慢性硬膜下血腫の三例
「和文抄録」前回, 名古屋市立病院紀要第36巻で難治性慢性硬膜下血腫の症例を報告した. 治療経過が長期化し再発率も高い高齢者の慢性硬膜下血腫症例に対して, 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術中に血腫腔の退縮が明らかではない症例に硬膜下ドレーンを術後に長期に渡って留置する工夫を提示した. 今回は手術治療を病状経過や基礎疾患の病態から躊躇した高齢者の症例の保存的治療開始から略治までの経過を報告する. 一般に高齢者の症例では併存する脳萎縮が血腫による脳実質の圧排を代償し, 画像上慢性硬膜下血腫と診断されたときには比較的大きな血腫となっていることが稀ならず認められる. また, 硬膜下水腫の状態で発見される頭部外...
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Veröffentlicht in: | 名古屋市立病院紀要 2017-09, Vol.40, p.1-3 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「和文抄録」前回, 名古屋市立病院紀要第36巻で難治性慢性硬膜下血腫の症例を報告した. 治療経過が長期化し再発率も高い高齢者の慢性硬膜下血腫症例に対して, 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術中に血腫腔の退縮が明らかではない症例に硬膜下ドレーンを術後に長期に渡って留置する工夫を提示した. 今回は手術治療を病状経過や基礎疾患の病態から躊躇した高齢者の症例の保存的治療開始から略治までの経過を報告する. 一般に高齢者の症例では併存する脳萎縮が血腫による脳実質の圧排を代償し, 画像上慢性硬膜下血腫と診断されたときには比較的大きな血腫となっていることが稀ならず認められる. また, 硬膜下水腫の状態で発見される頭部外傷後の高齢者症例も少なくない. そして, 硬膜下水腫から血腫に転化した症例では血腫化による被膜形成が破綻したクモ膜の閉鎖につながることもある. 前者のように比較的大きな血腫を認めた場合は可及的速やかに減圧を図る必要がある. しかし後者の症例では血種転化早期に観血的治療を施すことはかえって遷延性水腫の続発を促す可能性もある. このような症例の中には今回の症例のように保存的に対処可能な症例も含まれていると思われる. 高齢者の外傷後慢性硬膜下血腫を治療するうえで, その手段および時期の選択には慎重な判断が必要である. ただし, 保存的治療を選択した場合, 治療期間は相応に長くなるので, その間の日常生活動作を維持するためにはリハビリテーション療法を併用する必要がある. |
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ISSN: | 0911-9809 |