アサイー果実パルプ水溶液は腎低酸素誘導を介して造血因子エリスロポエチンを増加させる

「要旨」アサイー(Euterpe oleracea Mart. Palmae, Arecaceae)はブラジルのアマゾン地方原産の果実で, パラー州では健康増進の目的で常食されている. 国内ではスーパーフードの一種として知られ, 特に貧血改善を目的として摂取されている. 本研究は, アサイー果実パルプ水溶液の造血作用とそのメカニズムを調べることを目的とした. 造血薬roxadustatは投与2時間後に低酸素応答性造血因子エリスロポエチン(erythropoietin, EPO)の発現を増加させることが報告されている. このプロトコールに従い, アサイー果実パルプ水溶液をマウスに単回経口投与し(...

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Veröffentlicht in:Functional Food Research 2022-09, Vol.18, p.65-69
Hauptverfasser: 澁谷修一, 渡辺憲史, Mario Jose Villegas Yata, 清水孝彦
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」アサイー(Euterpe oleracea Mart. Palmae, Arecaceae)はブラジルのアマゾン地方原産の果実で, パラー州では健康増進の目的で常食されている. 国内ではスーパーフードの一種として知られ, 特に貧血改善を目的として摂取されている. 本研究は, アサイー果実パルプ水溶液の造血作用とそのメカニズムを調べることを目的とした. 造血薬roxadustatは投与2時間後に低酸素応答性造血因子エリスロポエチン(erythropoietin, EPO)の発現を増加させることが報告されている. このプロトコールに従い, アサイー果実パルプ水溶液をマウスに単回経口投与し(10g/kg), 2時間後に血中EPO量と腎Epo遺伝子発現を測定した. 投与2時間後, 対照群と比較してアサイー群で約2.5倍, roxadustat群で約6倍の血中EPO量増加を示した. 腎臓でのEpo遺伝子発現も, アサイー群で約10倍, roxadustat群で約20倍の増加を示した. 次に, アサイー投与2時間後, 還元型チオール基に結合する低酸素プローブ: ピモニダゾールを腹腔内投与(60mg/kg)して15分後に腎を摘出し, 抗ピモニダゾール抗体を使用して腎酸素レベルを組織学的に解析した. アサイー投与により腎のピモニダゾール染色性が増加し, 低酸素化を呈していた. 最後に, アサイーをマウスに4日間経口投与し(10g/kg/day), 血液パラメータを調べた. 4日間のアサイー投与は有意に赤血球数, ヘモグロビン値, およびヘマトクリット量を増加させた. 以上の結果から, アサイーは腎臓の低酸素化を惹起してEPO発現を増加させることが明らかとなった. 造血作用を有するアサイーは貧血改善に対する機能性食品として応用が期待できる.
ISSN:2432-3357