脳梁離断術に伴うてんかん発作頻度, 頭皮脳波, 安静時機能的MRIの変化に関する検討
「抄録」 一部の難治性てんかん症例に対して脳梁離断術が行われる. 本手術により脳梁を介した左右大脳へのてんかん波の波及は抑制され, 失立発作や全般発作の頻度は軽減しうる. その一方, 本手術後の合併症として脳梁離断症状が出現しうるが, 脳梁離断症状の明らかな発生機序あるいは長期予後との関連については明らかではない. 近年, magnetic resonance imaging(MRI)撮像法の進歩により, 課題条件下での神経活動に伴う脳局所血流量変化を解剖学的に示すことが可能となった. さらに, 安静時に賦活状態となる領域を示すresting-state functional MRI(rs-f...
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Veröffentlicht in: | 近畿大学医学雑誌 2017-06, Vol.42 (1/2), p.11-20 |
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1. Verfasser: | |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「抄録」 一部の難治性てんかん症例に対して脳梁離断術が行われる. 本手術により脳梁を介した左右大脳へのてんかん波の波及は抑制され, 失立発作や全般発作の頻度は軽減しうる. その一方, 本手術後の合併症として脳梁離断症状が出現しうるが, 脳梁離断症状の明らかな発生機序あるいは長期予後との関連については明らかではない. 近年, magnetic resonance imaging(MRI)撮像法の進歩により, 課題条件下での神経活動に伴う脳局所血流量変化を解剖学的に示すことが可能となった. さらに, 安静時に賦活状態となる領域を示すresting-state functional MRI(rs-fMRI)という撮像法も開発された. 本研究ではrs-fMRIを用い, 意識に関連する視床およびdefault mode network(DMN)での機能的結合変化を脳梁離断術前後で評価し, てんかん発作に関連する臨床的特徴および術後に生じる無動無言症状の発生機序の同定を試みた. その結果, 脳梁離断術により左右大脳同期性スパイク波の量的頻度的減少がみられ, あわせて左右視床間, 右下頭頂小葉-後帯状皮質, 左右下頭頂小葉間に機能的結合低下が生じ, これらの結合低下がてんかん発作制御に関わることが示唆された. またrs-fMRI撮像例では, 術後早期より体動が著しく減少していた. 一方, 術式選択や脳梁離断症状の有無はてんかん発作再発までの期間と相関しなかった. 以上の結果より, 脳梁離断術により生じる視床およびDMNの機能的結合低下が, 本手術によるてんかん発作制御機構であると同時に無動無言症状の発生機序のひとつであると考えられた. |
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ISSN: | 0385-8367 |