ラット敗血症モデルにおけるCitrulline-NO cycleとシトルリン補充療法の有用性の検討

「抄録」【目的】一酸化窒素 (NO) はendothelial nitric oxide synthase (eNOS) を触媒としてアルギニンからシトルリンとともに産生され, 微小循環保持に関与する. シトルリンはCitrulline-NO cycleを経由してNO産生に関わっている. 敗血症時には臓器潅流障害が惹起されているが, その機序は明らかではない. そこで敗血症モデルラットにおけるCitrulline-NO cycleの酵素発現を中心に, シトルリン補充療法の有用性を検討した. 【方法】敗血症モデルとして盲腸結紮穿刺 (Cecal ligation and puncture:CLP...

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Veröffentlicht in:近畿大学医学雑誌 2014-12, Vol.39 (3/4), p.105-113
Hauptverfasser: 木村浩基, 前川昌平, 米倉竹夫, 保木昌徳, 朴雅美, 森下祐次, 八木誠, 竹山宜典, 奥野清隆
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「抄録」【目的】一酸化窒素 (NO) はendothelial nitric oxide synthase (eNOS) を触媒としてアルギニンからシトルリンとともに産生され, 微小循環保持に関与する. シトルリンはCitrulline-NO cycleを経由してNO産生に関わっている. 敗血症時には臓器潅流障害が惹起されているが, その機序は明らかではない. そこで敗血症モデルラットにおけるCitrulline-NO cycleの酵素発現を中心に, シトルリン補充療法の有用性を検討した. 【方法】敗血症モデルとして盲腸結紮穿刺 (Cecal ligation and puncture:CLP) ラットを用い, シトルリン (Cit群), アルギニン (Arg群), アラニン (Ala群) を添加した維持輸液を行い, 実験Iでは処置後5日間生存率を検討し, 実験IIでは処置後2日目の肝, 腎, 回腸でのシトルリン代謝関連酵素の発現および組織学的検討を行った. 【結果】実験I:Cit群の生存率は他の2群に比して有意に高かった. 実験II:肝組織ではCit群でeNOSのmRNAレベルが有意に高値を示し, アルギニノコハク酸シンターゼ (ASS) とアルギニノコハク酸リアーゼ (ASL) は増加傾向を示したが, 腎組織で3群に差はなかった. またCit群では回腸組織におけるphospho-eNOSは強く発現し, 一方iNOSタンパク質合成やアポトーシスは抑制されていた. 【結論】CLPラットモデルへのシトルリン投与は死亡率を低下させた. その一因として, Citrulline-NO cycleの酵素, 特にeNOSの活性化の関与が考えられた. 本研究の結果からシトルリンが敗血症の治療に有用であることが示唆された.
ISSN:0385-8367