パーキンソン病者の家族介護者が日常生活困難感と折り合いをつけることを可能にする要因

「要旨」 目的 : 地域で暮らすPD者の家族介護者が経験する日常生活困難感に対し, 家族介護者自身が対処し折り合いをつけることを可能にする要因を明らかにする. 方法 : 地域で暮らすPD者の家族介護者17名に半構成的面接を行った先行研究で得た語りを用い, 質的記述的に分析した. 結果 : 地域で暮らすPD者の家族介護者が日常生活困難感と折り合いをつけることを可能にする要因は, 【まだ進行していないPD者の身体症状】, 【支援体制が整ったPD者の療養生活】, 【家族介護者を支える人の存在】, 【気分転換を図ることのできる力】, 【PD者の有り様を問題視しない家族介護者の傾向】があった. また,...

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Veröffentlicht in:家族看護学研究 2019, Vol.25 (1), p.55-66
1. Verfasser: 蘇武彩加
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」 目的 : 地域で暮らすPD者の家族介護者が経験する日常生活困難感に対し, 家族介護者自身が対処し折り合いをつけることを可能にする要因を明らかにする. 方法 : 地域で暮らすPD者の家族介護者17名に半構成的面接を行った先行研究で得た語りを用い, 質的記述的に分析した. 結果 : 地域で暮らすPD者の家族介護者が日常生活困難感と折り合いをつけることを可能にする要因は, 【まだ進行していないPD者の身体症状】, 【支援体制が整ったPD者の療養生活】, 【家族介護者を支える人の存在】, 【気分転換を図ることのできる力】, 【PD者の有り様を問題視しない家族介護者の傾向】があった. また, PD者との関わりの中で自身の気持ちの整理をしたりするなかで, 【家族介護者のPD者に対する肯定的な感情】や【他患の存在によるPDに対する客観的な疾患の理解】, 【深められたPD者との相互理解】のほか, 【普通に見えるPD者の外見】というPDという疾患ならではの特性が影響していることが見出された. 考察 : PD者の家族介護者は様々な日常生活困難感に対し, 一般に言われる家族なりの対処をする一方, 患者会への参加などにより他患の存在を意識していた. その中で【普通に見えるPD者の外見】であることは, PD者の家族介護者の気持ちを支えるものであると考えられる. 看護職者にはPD者との関わりを含めた思いを聴き, 起こっている事態の状況評定をすることや捉え直しをする支援ができると示唆される. そして, PD者と家族介護者の心理過程を理解し, 多面的にアセスメントできる看護の強みを生かす支援が求められる.
ISSN:1341-8351