自閉症児の歯科受診にともなう母親の思い
「要旨」自閉症児は環境変化への柔軟な対応が困難なため, 歯科治療に強い抵抗を示す. 本研究は, このような状態にある児を歯科受診させる母親の内面の変化を知ることを目的とし, 母親の思いに添った看護のあり方を検討した. 自閉症児と共に暮らしている母親8名にインタビューを行い, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した. その結果「歯科受診が軌道に乗るまでの母親の思い」と「母親の根底にある思い」の2つに大別された. 母親には歯科受診するまでに, 《自閉症児を歯科受診させることへの壁》があり《自閉症児への偏見による気疲れ》が大きく影響していた. しかし, この壁は母親の根底にある《我...
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Veröffentlicht in: | 家族看護学研究 2009-08, Vol.15 (1), p.22-29 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 「要旨」自閉症児は環境変化への柔軟な対応が困難なため, 歯科治療に強い抵抗を示す. 本研究は, このような状態にある児を歯科受診させる母親の内面の変化を知ることを目的とし, 母親の思いに添った看護のあり方を検討した. 自閉症児と共に暮らしている母親8名にインタビューを行い, 修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチにより分析した. その結果「歯科受診が軌道に乗るまでの母親の思い」と「母親の根底にある思い」の2つに大別された. 母親には歯科受診するまでに, 《自閉症児を歯科受診させることへの壁》があり《自閉症児への偏見による気疲れ》が大きく影響していた. しかし, この壁は母親の根底にある《我が子の口腔機能維持のための前向きさ》により《新たな受診環境での予測困難感へのコーピング》へと変化し, さらに《歯科のトレーニング・治療遂行への建設的思考》となっていた. これにより継続的な来院が可能となり母親は, 最終的に《我が子の口腔環境を守りつつある幸せ》を見いだしていた. これらの全過程の基盤には《理解してくれる家族の存在価値》があった. 看護師は, 《自閉症児を歯科受診させることへの壁》を乗り越えて来院した母親を理解し, 母子の成長体験が得られる場となるような見守りの姿勢と, 母親の思いを表出できるような環境づくりが求められる. また, 母親の根底にある《我が子の口腔機能維持のための前向きさ》を引き出せるようなパートナーシップの形成の必要性が示唆された. |
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ISSN: | 1341-8351 |