高齢者における近隣の坂道に対する認識と活動的な移動習慣との関連:斜面市街地を対象とした検討

目的:斜面市街地に住む高齢者を対象に,近隣の坂道への認識が,活動的な移動習慣と関連しているかどうかを検討した。方法:本研究は横断研究であった。神戸市灘区鶴甲地区の1,021名へ2017年に質問紙調査を行い,693名(67.9%)が回答した。回答者のうち,65歳以上であり,移動能力に大きな制限がなく,かつ,分析項目に欠損のない,337名(男性155名,女性182名)を解析対象とした。活動的な移動習慣は,徒歩または自転車による地区外への週1日以上の外出として評価した。坂道に対する認識として,近所には坂が多く移動が大変と認識しているかどうかを質問した。基本属性等として,性別,年代,居住形態,経済的ゆ...

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Veröffentlicht in:運動疫学研究 2018/03/31, Vol.20(1), pp.16-25
Hauptverfasser: 原田, 和弘, 増本, 康平, 片桐, 恵子, 福沢, 愛, 長ヶ原, 誠, 近藤, 徳彦, 岡田, 修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:斜面市街地に住む高齢者を対象に,近隣の坂道への認識が,活動的な移動習慣と関連しているかどうかを検討した。方法:本研究は横断研究であった。神戸市灘区鶴甲地区の1,021名へ2017年に質問紙調査を行い,693名(67.9%)が回答した。回答者のうち,65歳以上であり,移動能力に大きな制限がなく,かつ,分析項目に欠損のない,337名(男性155名,女性182名)を解析対象とした。活動的な移動習慣は,徒歩または自転車による地区外への週1日以上の外出として評価した。坂道に対する認識として,近所には坂が多く移動が大変と認識しているかどうかを質問した。基本属性等として,性別,年代,居住形態,経済的ゆとり,自動車・バイクの運転,運動実施,過体重,膝痛,心理的苦痛を取り上げた。活動的な移動習慣を従属変数,坂道に対する認識と基本属性等を独立変数としたポアソン回帰分析を行った。結果:解析対象の21.2%が活動的な移動習慣を有していた。ポアソン回帰分析の結果,坂道を否定的に認識している者(調整有病割合比=0.64,95%信頼区間=0.42-0.96)は,否定的に認識していない者よりも,活動的な移動習慣を有していない傾向にあった。結論:坂道に対する認識が否定的ではない高齢者のほうが,活動的な移動習慣を有していた。このことは,斜面市街地に住む高齢者において,近隣の坂道に対する否定的な認識を取り除くことが活動的な移動習慣の形成に影響する可能性があることを示している。
ISSN:1347-5827
2434-2017
DOI:10.24804/ree.20.16