心臓血管外科術後のせん妄発症予防のための効果的な作業療法実践の検討:せん妄発症事例から得られた示唆

要旨:心臓血管外科術後に,予め精神状態や認知機能に配慮して入院経過や今後の見通しなどの情 報を患者に提供することによりせん妄発症を予防できた可能性のある事例に基づき,せん妄に対する予防的介入の内容について検討した.事例は80歳代男性,大動脈弁置換術と冠動脈バイパス術を受けた.ICU入室時から現実検討の促しやADL訓練,認知訓練を実施したが,一般病棟へ転棟後にせん妄を発症した.これらの訓練に加え,入院の経緯や現在の状況を毎日口頭で伝えるようにしたところ,徐々に見当識障害や現状に対する混乱はなくなり,その後せん妄は消失した.せん妄発症の原因となる不安や精神的ストレスは,環境の変化や,現状の治療内容...

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Veröffentlicht in:神奈川作業療法研究 2022/04/18, Vol.12(1), pp.1-7
Hauptverfasser: 佐野, 邦典, 渡邊, 愛記, 川口, 敬之, 坂本, 安令, 福田, 倫也
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:要旨:心臓血管外科術後に,予め精神状態や認知機能に配慮して入院経過や今後の見通しなどの情 報を患者に提供することによりせん妄発症を予防できた可能性のある事例に基づき,せん妄に対する予防的介入の内容について検討した.事例は80歳代男性,大動脈弁置換術と冠動脈バイパス術を受けた.ICU入室時から現実検討の促しやADL訓練,認知訓練を実施したが,一般病棟へ転棟後にせん妄を発症した.これらの訓練に加え,入院の経緯や現在の状況を毎日口頭で伝えるようにしたところ,徐々に見当識障害や現状に対する混乱はなくなり,その後せん妄は消失した.せん妄発症の原因となる不安や精神的ストレスは,環境の変化や,現状の治療内容および見通しに関する情報の不足によって生じると考えられた.そのため,患者の精神状態の適切な評価に応じて,治療内容および見通しが持てる情報提供とともに,日記や自伝的記憶を用いた介入が有効である可能性が示唆された.
ISSN:2186-0998
2758-0202
DOI:10.57293/kanaotjournal.12.1_1