再生不良性貧血への免疫抑制療法から約1年後に発症した急性リンパ性白血病の1例

急性リンパ性白血病 (ALL) に3-6カ月先行して, 一過性の骨髄低形成を伴う汎血球減少を認めることがまれにある.私たちは再生不良性貧血と診断した10ヵ月後にALLを発症した3歳の女児例を経験した.症例は2005年5月に肝脾腫のない汎血球減少を発症した.腸骨骨髄は著明な低形成で, 白血病細胞や異形成のある細胞は認めなかったため再生不良性貧血と診断し, 免疫抑制療法を開始した.速やかに好中球の増加がみられ, 輸血も不要となった.2006年2月から下肢の疼痛が出現し, 3月に再度貧血と血小板減少を認めた.骨髄は94%を白血病細胞が占めており, B-precursor ALLと診断した.汎血球減少...

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Veröffentlicht in:日本小児血液学会雑誌 2007/12/31, Vol.21(5-6), pp.247-251
Hauptverfasser: 鈴木, 徹臣, 真々田, 容子, 幸田, 恭子, 村田, 敬寛, 小原, 明, 小島, 勢二, 石黒, 精
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:急性リンパ性白血病 (ALL) に3-6カ月先行して, 一過性の骨髄低形成を伴う汎血球減少を認めることがまれにある.私たちは再生不良性貧血と診断した10ヵ月後にALLを発症した3歳の女児例を経験した.症例は2005年5月に肝脾腫のない汎血球減少を発症した.腸骨骨髄は著明な低形成で, 白血病細胞や異形成のある細胞は認めなかったため再生不良性貧血と診断し, 免疫抑制療法を開始した.速やかに好中球の増加がみられ, 輸血も不要となった.2006年2月から下肢の疼痛が出現し, 3月に再度貧血と血小板減少を認めた.骨髄は94%を白血病細胞が占めており, B-precursor ALLと診断した.汎血球減少時と同じ染色体異常 (hyperdiploid) をALL発症時にも認めた.染色体異常を伴う再生不良性貧血や免疫抑制療法の著効例においてはALLの前駆状態であることも考慮し, 長期的な経過観察が必要であると考えられた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.21.247