造血幹細胞移植における細胞療法の最近の進歩

造血幹細胞移植後の代表的な合併症に, 移植片対宿主病 (GVHD) とウイルス感染がある.強力な免疫抑制剤や抗ウイルス剤の使用にもかかわらず, 合併症による死亡は依然高率である.近年, GVHDや細胞性免疫の分子機構が明らかにされ, 新しい細胞分離・培養技術が開発されたことから, 生着の促進, GVHDおよびウイルス感染の予防・治療, 再発の治療に対して細胞療法が試みられている.すでに, ウイルス特異的細胞障害性T細胞や間葉系幹細胞, 体外増幅臍帯血を用いた臨床研究が行われ, 安全性と治療効果が報告されている.また, 制御性T細胞によるGVHD予防の前臨床試験の結果は有望である.しかし, これ...

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Veröffentlicht in:日本小児血液学会雑誌 2006/12/31, Vol.20(6), pp.561-571
Hauptverfasser: 谷ヶ崎, 博, 小島, 勢二
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:造血幹細胞移植後の代表的な合併症に, 移植片対宿主病 (GVHD) とウイルス感染がある.強力な免疫抑制剤や抗ウイルス剤の使用にもかかわらず, 合併症による死亡は依然高率である.近年, GVHDや細胞性免疫の分子機構が明らかにされ, 新しい細胞分離・培養技術が開発されたことから, 生着の促進, GVHDおよびウイルス感染の予防・治療, 再発の治療に対して細胞療法が試みられている.すでに, ウイルス特異的細胞障害性T細胞や間葉系幹細胞, 体外増幅臍帯血を用いた臨床研究が行われ, 安全性と治療効果が報告されている.また, 制御性T細胞によるGVHD予防の前臨床試験の結果は有望である.しかし, これらの報告はまだ少数で, 標準的治療法の確立には, 第2, 第3相試験が必須である.また臨床応用する細胞製剤は, current good manufacturing practicesに基づく製造が要求されている.本稿では, 細胞療法の最近の進歩と問題点について概説する.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.20.561