血液透析の時間経過に伴う認知症高齢者の言動の変化と苦痛の評価

抄録 本研究の目的は,血液透析時間の経過と血圧低下に伴う認知症高齢者の言動の変化と,言動から評価した苦痛の程度について明らかにしたうえで,看護実践への示唆を得ることである.対象者は血液透析を受けている認知症高齢者11人(男性2人,女性9人)である.対象者1人につき筆者ら2人が1回,入室から終了までを3分間隔で観察し30分間隔で血圧の値を収集した.苦痛の程度は,調査者作成の苦痛度基準に基づき評価し,時間経過に沿って一覧表で示した.その結果,全員に血液透析の継続に支障をきたす苦痛が1回以上出現し,4人は透析終了前1時間〜30分の間に苦痛度が高くなっていた.また10人(91%)は穿刺時に「痛い」と叫...

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Veröffentlicht in:日本老年看護学会誌(老年看護学) 2020, Vol.25(1), pp.57-67
Hauptverfasser: 久米 真代, 高山 成子, 磯 光江, 大津 美香, 渡辺 陽子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:抄録 本研究の目的は,血液透析時間の経過と血圧低下に伴う認知症高齢者の言動の変化と,言動から評価した苦痛の程度について明らかにしたうえで,看護実践への示唆を得ることである.対象者は血液透析を受けている認知症高齢者11人(男性2人,女性9人)である.対象者1人につき筆者ら2人が1回,入室から終了までを3分間隔で観察し30分間隔で血圧の値を収集した.苦痛の程度は,調査者作成の苦痛度基準に基づき評価し,時間経過に沿って一覧表で示した.その結果,全員に血液透析の継続に支障をきたす苦痛が1回以上出現し,4人は透析終了前1時間〜30分の間に苦痛度が高くなっていた.また10人(91%)は穿刺時に「痛い」と叫びながら,もしくは黙ってシャント肢を動かさず穿刺が終了するまで耐えていることが明らかとなった.これらの結果から看護師は,観察・ケア重点時間を設定すること,認知症高齢者の耐える力を信じ,穿刺時にいまから穿刺することを説明する必要性が示唆された.
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.25.1_57