対話・協働・調和の視点で考える老年看護学の未来

Ⅰ.百寿社会,未知なる時代に向かって 高齢化率28.1%(2018)となった日本の超高齢社会は,2040年には35%,2060年には40%を超えると予想されている.100歳(百寿者)人口は,統計が始まった1963年は153人,2018年は69,000人以上となり,百寿社会,人生100年時代ともいわれるようになった.介護負担やサービス不足の問題,健康寿命の伸び悩み,延命治療や医療費の高騰の問題など超高齢社会の危機感や不安感が煽られる一方で,ICTやAI,介護ロボットなどの新しい取り組みが始まっている.さまざまな分野で超高齢社会,百寿社会が議論されるようになった. 2018年3月に行われた「百寿社...

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Veröffentlicht in:日本老年看護学会誌(老年看護学) 2020, Vol.24(2), pp.5-8
1. Verfasser: 大塚 眞理子
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:Ⅰ.百寿社会,未知なる時代に向かって 高齢化率28.1%(2018)となった日本の超高齢社会は,2040年には35%,2060年には40%を超えると予想されている.100歳(百寿者)人口は,統計が始まった1963年は153人,2018年は69,000人以上となり,百寿社会,人生100年時代ともいわれるようになった.介護負担やサービス不足の問題,健康寿命の伸び悩み,延命治療や医療費の高騰の問題など超高齢社会の危機感や不安感が煽られる一方で,ICTやAI,介護ロボットなどの新しい取り組みが始まっている.さまざまな分野で超高齢社会,百寿社会が議論されるようになった. 2018年3月に行われた「百寿社会を展望するシンポジウム」で世話人の伊藤裕氏(慶應義塾大学医学部)は,わが国の高齢化の推移と将来推計を象の身体を使ったイラストを示した.さらに,ジョナサン・ハイトの比喩(Jonathan,2007/2011)を用いて,この象(百寿社会の老年者)が意思をもつようになったとき,象の背中に乗った象使い(為政者)はもはや象を操ることができないように,百寿社会においては,象使いに操られるのではなく,自らが意思をもって,社会を切り開く必要性を示した.われわれ看護職も,未知なる百寿社会に向かって老年者に寄り添い,老年者とともに幸福な社会を切り開いていく存在でありたいと思う.
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.24.2_5