痴呆の程度別「摂食リズムの乱れ」の特徴—作成したシートを用いて

本研究の目的は,作成したシートを用いて,痴呆の程度別「摂食リズムの乱れ」の特徴を客観的に捉えることである.アルツハイマー病の老年者6名(中等度,高度,最高度痴呆の各2名)に対して,初回評価(観察を主とした介入に基づく乱れの評価)と介入評価(計画的介入に基づく乱れの評価)を比較検討した結果,以下の知見を得た. 1.「摂食リズムの乱れ」とみなされたインターバルの出現回数は,摂食環境による注意力の乱れが多かった高度痴呆の1名を除き,あまり変化を認めなかった.しかしながら,インターバルの時間は,痴呆のおのおのの程度において有意に短縮した. 2.総摂食時間は,75.2±19.9分から55.7±17.4分...

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Veröffentlicht in:日本老年看護学会誌(老年看護学) 1999/11/01, Vol.4(1), pp.73-82
Hauptverfasser: 山田 律子, 磯田 順子, 中島 紀恵子, 北川 公子, 井出 訓, 佐藤 恵美子, 依本 正恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:本研究の目的は,作成したシートを用いて,痴呆の程度別「摂食リズムの乱れ」の特徴を客観的に捉えることである.アルツハイマー病の老年者6名(中等度,高度,最高度痴呆の各2名)に対して,初回評価(観察を主とした介入に基づく乱れの評価)と介入評価(計画的介入に基づく乱れの評価)を比較検討した結果,以下の知見を得た. 1.「摂食リズムの乱れ」とみなされたインターバルの出現回数は,摂食環境による注意力の乱れが多かった高度痴呆の1名を除き,あまり変化を認めなかった.しかしながら,インターバルの時間は,痴呆のおのおのの程度において有意に短縮した. 2.総摂食時間は,75.2±19.9分から55.7±17.4分と有意に短縮した.また,インターバルの時間と総摂食時間とは高い相関があり,インターバルの時間の短縮は総摂食時間の短縮化につながることが示された. 3.自動摂食の割合は,痴呆の重度化に伴い減少する傾向にあった.最高度痴呆で自動摂食の回復が困難な場合には,単にその回復を待つのではなく,他動摂食により摂食リズムの回復を促進することの重要性が示唆された. 4.痴呆性老人の「摂食リズムの乱れ」は,摂食サイクルの秩序性の乱れであり,インターバルの関与が大きいことが明らかにされた.
ISSN:1346-9665
2432-0811
DOI:10.20696/jagn.4.1_73