パン咀嚼過程における食塊潤滑性の変化

「I. 目的」咀嚼過程で不随意的に生じる嚥下は, 食塊の性質が嚥下に適する条件を満たした時点で惹起されるとされ, ナッツ類など破砕性食品では食塊凝集性の高まりが条件であることが示されているが, 多様な性質の自然食品のそれぞれについて嚥下誘発の条件が明らかにされているわけではない. HutchingsとLillfordのDual threshold modelは, 食品の構造に係る条件と潤滑性に係る条件をともに満たすことで嚥下が誘発されるとする仮説であり, 食品の粒子径や硬さなど構造の要件とともに, 食品が口腔から食道へと移送される際に必要な粘膜に対する潤滑性を条件に加えている. 著者らはさきに...

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Veröffentlicht in:日本顎口腔機能学会雑誌 2014, Vol.21(1), pp.56-57
Hauptverfasser: 小野, 和子, 田中, 恭恵, 服部, 佳功
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. 目的」咀嚼過程で不随意的に生じる嚥下は, 食塊の性質が嚥下に適する条件を満たした時点で惹起されるとされ, ナッツ類など破砕性食品では食塊凝集性の高まりが条件であることが示されているが, 多様な性質の自然食品のそれぞれについて嚥下誘発の条件が明らかにされているわけではない. HutchingsとLillfordのDual threshold modelは, 食品の構造に係る条件と潤滑性に係る条件をともに満たすことで嚥下が誘発されるとする仮説であり, 食品の粒子径や硬さなど構造の要件とともに, 食品が口腔から食道へと移送される際に必要な粘膜に対する潤滑性を条件に加えている. 著者らはさきにパン咀嚼過程における食塊の水分量と吸水率の関係を検索し, 咀嚼進行に伴い水分量が増加すると, 食塊がその周囲の水分を食塊中に取り込もうとする性質 (吸水性) が低下し, 嚥下誘発の時点でほぼその性質を失うことを見出した.
ISSN:1340-9085
1883-986X
DOI:10.7144/sgf.21.56