異染性粘液様物質を認めた類上皮血管内皮腫の 1 例

背景:肺の類上皮血管内皮腫(EHE)は細胞診において,腺癌に非常に類似する細胞像を示すが,特徴的な異染性を示す間質性粘液が認められた 1 例を経験したので報告する.症例:50 歳代,女性.以前より多発肺結節と肝腫瘤が指摘されていたが,左肺門部腫瘤が増大したため,EBUS-TBNA による細胞診と生検が施行された.細胞診で肺腺癌を疑ったが,生検では EHE 疑いで,その後肺下葉切除術が行われ,最終的な病理診断は EHE とされた.EBUS-TBNA の細胞像は,管腔様構造を示す上皮様集塊が観察され,核偏在性や核不整,核細胞質内空胞もみられた.本例では上皮様集塊とともに May-Giemsa 染色...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2024, Vol.63(1), pp.19-24
Hauptverfasser: 野口, 裕史, 徳満, 貴子, 森田, 勝代, 峰松, 映子, 白濱, 幸生, 黒木, 栄輝, 前川, 和也, 佐藤, 勇一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:肺の類上皮血管内皮腫(EHE)は細胞診において,腺癌に非常に類似する細胞像を示すが,特徴的な異染性を示す間質性粘液が認められた 1 例を経験したので報告する.症例:50 歳代,女性.以前より多発肺結節と肝腫瘤が指摘されていたが,左肺門部腫瘤が増大したため,EBUS-TBNA による細胞診と生検が施行された.細胞診で肺腺癌を疑ったが,生検では EHE 疑いで,その後肺下葉切除術が行われ,最終的な病理診断は EHE とされた.EBUS-TBNA の細胞像は,管腔様構造を示す上皮様集塊が観察され,核偏在性や核不整,核細胞質内空胞もみられた.本例では上皮様集塊とともに May-Giemsa 染色で異染性粘液様物質がみられた.当院で施行された肺・縦隔細胞診を再検討したところ,異染性粘液様物質は,本例以外に肺浸潤性粘液性腺癌症例で認められたが,腫瘍細胞内にも異染性物質をもつ上皮性粘液であり,異なる所見であった.結論:本例の細胞像は,腺癌細胞と類似点が多く鑑別が困難であったが,May-Giemsa 染色で異染性を示す間質性粘液は EHE を推定するうえで重要な所見になると思われた.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.63.19