粘液化生を伴うワルチン腫瘍の 1 例

背景:唾液腺腫瘍はさまざまな化生性変化を示すことが知られている.化生性ワルチン腫瘍の中にはまれに粘液化生を伴う症例がみられ,ワルチン腫瘍様粘表皮癌との区別が困難なことがある.今回われわれは,耳下腺に発生した粘液化生を伴うワルチン腫瘍の 1 例を経験したので報告する.症例:患者は喫煙歴を有する 60 歳代の男性.右耳下部に約 30 mm の無痛性の腫瘤性病変が認められ,穿刺吸引細胞診が施行された.細胞像は少数のリンパ球を背景にライトグリーン淡染性の異型に乏しい細胞が大型シート状集塊で認められ,集塊内に粘液化生細胞が混在していた.ワルチン腫瘍の好酸性細胞が一部にみられ,粘表皮癌の特徴的所見である中...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2023, Vol.62(4), pp.209-213
Hauptverfasser: 熊谷, 天斗, 河原, 明彦, 安倍, 秀幸, 髙瀬, 頼妃呼, 村田, 和也, 牧野, 諒央, 古田, 拓也, 内藤, 嘉紀, 秋葉, 純
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景:唾液腺腫瘍はさまざまな化生性変化を示すことが知られている.化生性ワルチン腫瘍の中にはまれに粘液化生を伴う症例がみられ,ワルチン腫瘍様粘表皮癌との区別が困難なことがある.今回われわれは,耳下腺に発生した粘液化生を伴うワルチン腫瘍の 1 例を経験したので報告する.症例:患者は喫煙歴を有する 60 歳代の男性.右耳下部に約 30 mm の無痛性の腫瘤性病変が認められ,穿刺吸引細胞診が施行された.細胞像は少数のリンパ球を背景にライトグリーン淡染性の異型に乏しい細胞が大型シート状集塊で認められ,集塊内に粘液化生細胞が混在していた.ワルチン腫瘍の好酸性細胞が一部にみられ,粘表皮癌の特徴的所見である中間細胞/扁平上皮成分と粘液細胞はみられなかった.腫瘍はリンパ組織とともに好酸性細胞と基底細胞の二層構造を示すワルチン腫瘍の所見がみられ,粘液化生細胞は囊胞部と充実部ともに認められた.Fluorescence in situ hybridization 解析において MAML2 遺伝子転座は認められなかった.結論:唾液腺腫瘍の診断において低悪性粘表皮癌に類似するような粘液化生細胞を伴うワルチン腫瘍の存在を知ることは,正確な診断に役立つ.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.62.209