急激な転帰をたどった子宮内膜脱分化癌の細胞像

背景:子宮内膜脱分化癌は分化傾向の不明瞭な癌腫である未分化癌に低異型度の類内膜癌が混在するまれな腫瘍である.われわれは術前の子宮頸部細胞診にて未分化癌由来の細胞,内膜細胞診にて分化型腺癌と未分化癌由来の細胞を認めた子宮内膜脱分化癌の 1 例を経験したので報告する.症例:60 歳代,女性.画像検査にて子宮体底部を占拠する 8 cm 大の充実性腫瘤と骨盤リンパ節の腫大を認めた.子宮内膜細胞診,組織診より子宮体癌と診断され外科的切除が行われた.病理組織学的検査では分化型類内膜癌の成分と未分化異型細胞を認めた.免疫組織化学検査において未分化異型細胞は vimentin に強陽性を示し,おおよそは CK...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2022, Vol.61(6), pp.385-392
Hauptverfasser: 若原, 孝子, 安達, 純世, 花見, 恭太, 子安, 貴良, 梁, 善光, 富居, 一範, 山﨑, 一人
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:背景:子宮内膜脱分化癌は分化傾向の不明瞭な癌腫である未分化癌に低異型度の類内膜癌が混在するまれな腫瘍である.われわれは術前の子宮頸部細胞診にて未分化癌由来の細胞,内膜細胞診にて分化型腺癌と未分化癌由来の細胞を認めた子宮内膜脱分化癌の 1 例を経験したので報告する.症例:60 歳代,女性.画像検査にて子宮体底部を占拠する 8 cm 大の充実性腫瘤と骨盤リンパ節の腫大を認めた.子宮内膜細胞診,組織診より子宮体癌と診断され外科的切除が行われた.病理組織学的検査では分化型類内膜癌の成分と未分化異型細胞を認めた.免疫組織化学検査において未分化異型細胞は vimentin に強陽性を示し,おおよそは CK18,EMA に陰性であったがごく一部に強陽性を示し,子宮内膜脱分化癌と診断された.術後,骨盤内リンパ節,肝臓,肺に多発転移を認め,術後 55 日目に多臓器不全で死亡した.結論:脱分化癌はきわめて悪性度が高く,類内膜癌・G3 に比しても予後不良とされている.本例のように急激な転帰をたどる場合もあるため術前の細胞診断は重要な意味をもつ.内膜細胞診における脱分化癌の要点は,分化型類内膜癌と未分化癌の混在である.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.61.385