迅速細胞診断時悪性病変が疑われた毛母腫の 1 例

背景 : 毛母腫は, 小児や若年成人に好発する良性皮膚付属器腫瘍であり, 細胞診において誤診が生じる可能性が高い腫瘍とされている.症例 : 1 歳, 女児. 生後 2 ヵ月から左耳前部に腫瘤が出現, 経過観察中増大傾向がみられた. 前医の穿刺吸引細胞診で悪性リンパ腫疑いと診断され, 当院で腫瘍摘出術が施行され, 腫瘍部捺印細胞診標本を作製した. 捺印塗抹標本では, 微出血性で少量の壊死物質がみられる背景に, 孤立散在性や細胞密度の高い小集塊状に基底細胞様細胞が多数出現していた. 集塊は結合性が弱く, 個々の細胞は N/C 比が高くほぼ裸核状, クロマチンは細顆粒状で増加し, 1~2 個の核小体...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2019, Vol.58(3), pp.133-138
Hauptverfasser: 吉田, (田中) 美帆, 倉岡, 和矢, 安村, 奈緒子, 菅, 亜里紗, 佐伯, 由美, 香川, 昭博, 齋藤, 彰久, 谷山, 清己
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景 : 毛母腫は, 小児や若年成人に好発する良性皮膚付属器腫瘍であり, 細胞診において誤診が生じる可能性が高い腫瘍とされている.症例 : 1 歳, 女児. 生後 2 ヵ月から左耳前部に腫瘤が出現, 経過観察中増大傾向がみられた. 前医の穿刺吸引細胞診で悪性リンパ腫疑いと診断され, 当院で腫瘍摘出術が施行され, 腫瘍部捺印細胞診標本を作製した. 捺印塗抹標本では, 微出血性で少量の壊死物質がみられる背景に, 孤立散在性や細胞密度の高い小集塊状に基底細胞様細胞が多数出現していた. 集塊は結合性が弱く, 個々の細胞は N/C 比が高くほぼ裸核状, クロマチンは細顆粒状で増加し, 1~2 個の核小体を認めた. 異物型多核巨細胞が少数みられた. 一部で基底細胞様細胞集塊に混在するように陰影細胞が認められ, 毛母腫に相当する細胞所見であった. また, 摘出された皮下腫瘍は 20 × 13 × 11 mm 大で, 真皮内に好酸性細胞と好塩基性細胞が認められ, 好酸性細胞周囲の間質に多数の異物型多核巨細胞浸潤が認められ, 毛母腫と病理組織診断された.結論 : 細胞診でみられた基底細胞様細胞は組織の好塩基性細胞に類似していた. 細胞密度の高い基底細胞様細胞の中に陰影細胞が混在する像は毛母腫と診断するうえで有用であった.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.58.133