穿刺吸引細胞診が診断に有用であった淡明細胞型腎細胞癌の骨格筋転移の 1 例

背景 : 上皮性悪性腫瘍の骨格筋転移はまれで, 報告例も少ない. 今回, 穿刺吸引細胞診が有用であった, 淡明細胞型腎細胞癌が右上腕筋に転移したまれな症例を経験したので報告する.症例 : 50 歳代, 男性. 右肩から上腕にかけての疼痛が出現し, MRI にて右上腕筋内に腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では泡沫状の細胞質を有する N/C の低い異型細胞が孤立散在性ないし集塊状に認められた. 核は円形ないし類円形で, 異型は目立たず, 明らかな核縁の不整や明瞭な核小体は認められなかった. 免疫細胞化学にて AE1/AE3, vimentin, CD10, PAX8 に陽性であった. 切除標本では筋...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2016, Vol.55(5), pp.340-344
Hauptverfasser: 竹下, かおり, 平木, 翼, 窪田, 恵美, 西田, ゆかり, 田中, 和彦, 高城, 千彰, 東, 美智代, 畑中, 一仁
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:背景 : 上皮性悪性腫瘍の骨格筋転移はまれで, 報告例も少ない. 今回, 穿刺吸引細胞診が有用であった, 淡明細胞型腎細胞癌が右上腕筋に転移したまれな症例を経験したので報告する.症例 : 50 歳代, 男性. 右肩から上腕にかけての疼痛が出現し, MRI にて右上腕筋内に腫瘤を認めた. 穿刺吸引細胞診では泡沫状の細胞質を有する N/C の低い異型細胞が孤立散在性ないし集塊状に認められた. 核は円形ないし類円形で, 異型は目立たず, 明らかな核縁の不整や明瞭な核小体は認められなかった. 免疫細胞化学にて AE1/AE3, vimentin, CD10, PAX8 に陽性であった. 切除標本では筋肉内に淡明あるいは泡沫状の豊富な細胞質を有する腫瘍細胞の増殖を認め, 広範な壊死を伴っていた. 免疫組織化学の結果は免疫細胞化学と同様であった. 4 年前に切除された淡明細胞型腎細胞癌と同様の所見であり, その骨格筋転移と診断した.結論 : 腎腫瘍の穿刺吸引細胞診はほとんど行われていないが, 本例のように転移巣の穿刺吸引細胞診等できわめてまれながら腎細胞癌に遭遇する可能性があるため, その細胞所見を認識しておくことは診断の一助となると考える.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.55.340