卵管上皮内癌を伴った微小な卵巣癌の 1 例

背景 : 子宮内膜細胞診 (以下, 内膜細胞診) での異常が契機となり発見された, 術前に病巣の特定が困難であった右卵巣高異型度漿液性腺癌の 1 例を経験したので報告する. 症例 : 61 歳, 女性. 検診で施行された内膜細胞診で異常を指摘され当院を紹介受診した. 当院でも同様に内膜細胞診陽性であったため子宮内膜全面掻爬術が行われたが, 組織学的に腫瘍細胞は認められなかった. 血清腫瘍マーカーは陰性で, 画像的にも骨盤内に異常所見は指摘できなかったが, 再度の内膜細胞診も陽性であったため試験開腹が行われた. 右卵巣に 2 cm 大の囊胞性病変が認められたため, 右付属器が切除され術中迅速検体...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2015, Vol.54(5), pp.318-322
Hauptverfasser: 菊地, 淳, 安田, 政実, 加藤, 智美, 鎌倉, 靖夫, 佐瀬, 智子, 菅野, 恵士, 細沼, 祐介, 矢島, 沙紀
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景 : 子宮内膜細胞診 (以下, 内膜細胞診) での異常が契機となり発見された, 術前に病巣の特定が困難であった右卵巣高異型度漿液性腺癌の 1 例を経験したので報告する. 症例 : 61 歳, 女性. 検診で施行された内膜細胞診で異常を指摘され当院を紹介受診した. 当院でも同様に内膜細胞診陽性であったため子宮内膜全面掻爬術が行われたが, 組織学的に腫瘍細胞は認められなかった. 血清腫瘍マーカーは陰性で, 画像的にも骨盤内に異常所見は指摘できなかったが, 再度の内膜細胞診も陽性であったため試験開腹が行われた. 右卵巣に 2 cm 大の囊胞性病変が認められたため, 右付属器が切除され術中迅速検体として提出された. 同検体の卵巣内に 5 mm 大の腺癌を偶発的に認めたため根治術が施行された. その後, 永久標本による組織診で, 卵管峡部および卵管采に上皮内癌を伴った右卵巣高異型度漿液性腺癌と診断した. 結論 : 術前に病巣の特定が困難であった卵管上皮内腺癌合併・卵巣高異型度漿液性腺癌の症例で, 内膜細胞診での異常所見が早期発見の契機となった.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.54.318