胸腔内播種を認めた皮膚エクリン汗孔癌の 1 例

背景 : エクリン汗孔癌はまれな皮膚悪性腫瘍であり, われわれが調べえたかぎりでは胸腔内播種を伴った症例の報告はない. 今回われわれは, 胸水中に腫瘍細胞の出現を認めたエクリン汗孔癌を経験したので, その細胞像について報告する. 症例 : 80 歳, 女性. 6 ヵ月前に下腹部皮膚のエクリン汗孔癌を切除された. 3 ヵ月前より発熱と呼吸苦および胸水貯留が出現したため胸水細胞診が施行された. 胸水中の異型細胞は炎症細胞を背景として形態学的に明らかに中皮細胞や肺腺癌細胞と異なる大型の腫瘍細胞の集塊を認め, 確定診断のためにセルブロックを作製して免疫染色を施行した. 臨床経過および皮膚原発腫瘍との免...

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Veröffentlicht in:日本臨床細胞学会雑誌 2013, Vol.52(3), pp.248-252
Hauptverfasser: 片渕, 達也, 徳永, 英博, 田上, さやか, 石原, 光浩, 下田, 環, 本田, 由美, 猪山, 賢一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:背景 : エクリン汗孔癌はまれな皮膚悪性腫瘍であり, われわれが調べえたかぎりでは胸腔内播種を伴った症例の報告はない. 今回われわれは, 胸水中に腫瘍細胞の出現を認めたエクリン汗孔癌を経験したので, その細胞像について報告する. 症例 : 80 歳, 女性. 6 ヵ月前に下腹部皮膚のエクリン汗孔癌を切除された. 3 ヵ月前より発熱と呼吸苦および胸水貯留が出現したため胸水細胞診が施行された. 胸水中の異型細胞は炎症細胞を背景として形態学的に明らかに中皮細胞や肺腺癌細胞と異なる大型の腫瘍細胞の集塊を認め, 確定診断のためにセルブロックを作製して免疫染色を施行した. 臨床経過および皮膚原発腫瘍との免疫染色結果を比較検討し, エクリン汗孔癌の胸腔播種と診断した. 胸水中の癌細胞の一部は核が偏在性で, Cytokeratin 7 (CK7) および CK19 が陽性の細胞質内封入体様構造物を認めた. 結論 : きわめてまれな皮膚エクリン汗孔癌の胸腔内播種を経験した. 胸水中の癌細胞には特徴的な封入体様構造物を認めた. 確定診断にはセルブロックによる免疫染色が有用であった.
ISSN:0387-1193
1882-7233
DOI:10.5795/jjscc.52.248