子宮頸癌検診を契機に発見された正常大卵巣癌症候群を呈した卵巣癌の 1 例
背景 : 子宮頸部細胞診において卵巣癌由来の細胞も出現することは知られている. 子宮頸がん検診にて異常を指摘されるも子宮に悪性所見を認めず, 画像上も有意な所見がなかったために, 診断に苦慮した卵巣癌の 1 例を経験したので報告する. 症例 : 55 歳の 2 経産婦. 近医で施行された子宮頸部細胞診にて異常を指摘され来院した. 子宮腟・頸部および内膜細胞診にて, 比較的きれいな背景に, 集塊を形成する腺癌細胞が多数みられた. また石灰化小体が散見された. 細胞診所見からは, 漿液性腺癌が推定された. しかし, 画像検査にて両側卵巣・卵管や, 腸管, 乳房に腫瘍性病変を認めなかった. 腹腔内病...
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Veröffentlicht in: | 日本臨床細胞学会雑誌 2011, Vol.50(3), pp.181-185 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 背景 : 子宮頸部細胞診において卵巣癌由来の細胞も出現することは知られている. 子宮頸がん検診にて異常を指摘されるも子宮に悪性所見を認めず, 画像上も有意な所見がなかったために, 診断に苦慮した卵巣癌の 1 例を経験したので報告する. 症例 : 55 歳の 2 経産婦. 近医で施行された子宮頸部細胞診にて異常を指摘され来院した. 子宮腟・頸部および内膜細胞診にて, 比較的きれいな背景に, 集塊を形成する腺癌細胞が多数みられた. また石灰化小体が散見された. 細胞診所見からは, 漿液性腺癌が推定された. しかし, 画像検査にて両側卵巣・卵管や, 腸管, 乳房に腫瘍性病変を認めなかった. 腹腔内病変の存在が否定できないため, 試験開腹術が施行された. 開腹時, 肉眼的に両側卵巣は正常大であったが, 腹腔内に播種病変を認めた. 摘出検体標本による病理診断で卵巣原発乳頭状漿液性腺癌 (正常大卵巣癌症候群) と診断された. 結論 : 本例は正常大卵巣癌症候群を呈した卵巣癌で, 比較的まれな症例である. 子宮頸部細胞診にて腺癌を認めるものの, 子宮内病変を認めず, 画像上卵巣腫大など腹腔内腫瘍性病変も認めない場合, 正常大卵巣癌症候群の可能性を考慮する必要がある. |
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ISSN: | 0387-1193 1882-7233 |
DOI: | 10.5795/jjscc.50.181 |