小児炎症性腸疾患におけるTNF阻害薬の位置づけ

TNF阻害薬は炎症性腸疾患(IBD)に対し最初に用いられるようになった生物学的製剤である.一部の薬剤は小児に対しても臨床試験が行われ,保険適用を有している.TNF阻害薬の登場により小児IBDの治療は大きく変化し,臨床症状の改善のみならず,成長障害の改善など様々な有用性が示されている.クローン病では治療指針や海外ガイドラインにおいて,TNF阻害薬は他の生物学的製剤に先んじて使用することが推奨されている.潰瘍性大腸炎においては,欧州のガイドラインではインフリキシマブが最優先される一方,日本の治療指針では難治例に対する治療はTNF阻害薬に限らず様々な生物学的製剤・分子標的薬が併記されており,保険適用...

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Veröffentlicht in:日本小児アレルギー学会誌 2024/08/20, Vol.38(3), pp.295-300
1. Verfasser: 石毛, 崇
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:TNF阻害薬は炎症性腸疾患(IBD)に対し最初に用いられるようになった生物学的製剤である.一部の薬剤は小児に対しても臨床試験が行われ,保険適用を有している.TNF阻害薬の登場により小児IBDの治療は大きく変化し,臨床症状の改善のみならず,成長障害の改善など様々な有用性が示されている.クローン病では治療指針や海外ガイドラインにおいて,TNF阻害薬は他の生物学的製剤に先んじて使用することが推奨されている.潰瘍性大腸炎においては,欧州のガイドラインではインフリキシマブが最優先される一方,日本の治療指針では難治例に対する治療はTNF阻害薬に限らず様々な生物学的製剤・分子標的薬が併記されており,保険適用や投与経路,効果発現までの期間など様々な要素を考慮し,個別に治療薬を決定することが求められる.海外ではインフリキシマブでは,抗薬物抗体の発現を抑制するために,投与開始後半年間程度を目安に免疫調節薬と併用することが推奨されている.投与にあたっては,投与時反応などの副作用の他,成人に比べ投与量が多く必要になる可能性についても考慮すべきである.
ISSN:0914-2649
1882-2738
DOI:10.3388/jspaci.38.295