乳幼児喘息と鑑別を要した囊胞性線維症の2歳男児

囊胞性線維症(CF)は本邦では稀かつ予後不良な疾患であり,早期の診断,治療介入が必要とされている.症例は2歳男児.周産期歴に特記事項.生後11か月でインフルエンザに罹患後より,喘鳴と肺炎を反復するようになった.気管支喘息と診断し吸入ステロイド薬(ICS)を導入したが症状改善なく,線毛機能不全症,慢性気管支炎を疑い少量マクロライド療法を行うも治療反応に乏しかった.2歳2か月時にRSV肺炎に罹患後,陥没呼吸が持続した.2歳3か月時に喘鳴,低酸素血症のため入院し,胸部CT検査で肺野過膨張と末梢気管支壁肥厚を認め,喀痰培養より緑膿菌が検出された.また,肝腫大と体重増加不良を認めたためCFを疑いCFTR...

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Veröffentlicht in:日本小児アレルギー学会誌 2020/08/05, Vol.34(3), pp.376-383
Hauptverfasser: 金城, 優美, 新垣, 洋平
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:囊胞性線維症(CF)は本邦では稀かつ予後不良な疾患であり,早期の診断,治療介入が必要とされている.症例は2歳男児.周産期歴に特記事項.生後11か月でインフルエンザに罹患後より,喘鳴と肺炎を反復するようになった.気管支喘息と診断し吸入ステロイド薬(ICS)を導入したが症状改善なく,線毛機能不全症,慢性気管支炎を疑い少量マクロライド療法を行うも治療反応に乏しかった.2歳2か月時にRSV肺炎に罹患後,陥没呼吸が持続した.2歳3か月時に喘鳴,低酸素血症のため入院し,胸部CT検査で肺野過膨張と末梢気管支壁肥厚を認め,喀痰培養より緑膿菌が検出された.また,肝腫大と体重増加不良を認めたためCFを疑いCFTR遺伝子検査を提出した.遺伝子解析で両アレルにc.2989-2A>G変異を認め,CFと確定診断した.現在はドルナーゼアルファとトブラマイシンの吸入療法を行い,再入院なく成長発達は良好である.本例のようにICSに反応しない乳幼児喘息では,CFなどの希少疾患も鑑別に挙げる必要がある.
ISSN:0914-2649
1882-2738
DOI:10.3388/jspaci.34.376