細胞社会の秩序とアレルギー:オミックス計測からのアプローチ

アレルギーは,生体の高次機能の一つである免疫機能の破綻によって引き起こされる.免疫機能自体が多数の種類の細胞が織りなす高次の細胞社会の営みであり,その破綻は細胞社会を構成している個々の細胞の振る舞いのわずかな異常によってもたらされる.では,我々はいかにしてこの複雑な細胞社会の恒常性維持と破綻に至る機構に迫っていけるのであろうか?この回答が困難な問題に一つの道筋を与えてくれるのが,ポストゲノム時代に脚光を浴びつつあるオミックス計測ではないかと期待されている.本稿では,現在のプロテオミクス計測とトランスクリプトミクス計測を中心にオミックス計測の現状を概説した後に,細胞集団が状態遷移していくプロセス...

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Veröffentlicht in:日本小児アレルギー学会誌 2020/03/20, Vol.34(1), pp.32-36
1. Verfasser: 小原, 收
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:アレルギーは,生体の高次機能の一つである免疫機能の破綻によって引き起こされる.免疫機能自体が多数の種類の細胞が織りなす高次の細胞社会の営みであり,その破綻は細胞社会を構成している個々の細胞の振る舞いのわずかな異常によってもたらされる.では,我々はいかにしてこの複雑な細胞社会の恒常性維持と破綻に至る機構に迫っていけるのであろうか?この回答が困難な問題に一つの道筋を与えてくれるのが,ポストゲノム時代に脚光を浴びつつあるオミックス計測ではないかと期待されている.本稿では,現在のプロテオミクス計測とトランスクリプトミクス計測を中心にオミックス計測の現状を概説した後に,細胞集団が状態遷移していくプロセスを記述するためにオミックス解析を補完する1細胞解析がどう役立つかの例を紹介する.こうした新規なアプローチは,アレルギー疾患の制御だけでなく,複雑系である生体システムを支配している新たな普遍的な原理を将来明らかにしてくれるかも知れない.
ISSN:0914-2649
1882-2738
DOI:10.3388/jspaci.34.32