りんご摂取によりアナフィラキシー様症状を呈した心因反応の1例

アナフィラキシー (An) 症状と心因反応は鑑別が困難な場合がある. 症例はアレルギー既往のない11歳男児である. りんご1/8個を摂取後, 呼吸困難を訴え救急病院を受診し, Anと診断され, アドレナリン筋注等の治療を受けた. その後, 当科にて精査を行った. りんご負荷試験 (オープン法) ではりんご1/8個摂取後に呼吸困難が出現し, Anと判断しアドレナリン筋注を施行した. しかし, 呼吸困難は持続し, その後過換気状態となりpaper bag法で軽快した. この結果から心因反応の可能性も考慮し, 生活背景の聴取を行ったところ, 多忙な生活背景が伺えた. その後施行したブラインド法でのりんご負荷試験は陰性であり, 心因反応を強く疑った. 臨床心理士による母親との面談を通じて家族関係, 学習塾, スポーツ活動などに対する児の葛藤, 負担感, 欲求不満が強く推測され, カウンセリングによる対応を行い, 症状を認めなくなった. 思春期のAn様病態に関して心因反応の可能性も考慮する必要がある.