セネガルの農村部における基礎保健員 (ASC) の選出条件 - 青年海外協力隊員が支援した事例から

「要旨」セネガルでは, 国の方針として基礎保健員(以下ASCと略す)と呼ばれるコミュニティーヘルスワーカーの活動を期待している. しかし, その育成方法は各州・県に委ねられている. 筆者は青年海外協力隊・保健師隊員として, セネガルでの活動の際にASC育成に関わった. その育成時に直面した「人選」の問題を通してASCの適切な選出条件を検討する. 研究対象者は, 1998年9月から2000年1月までにセネガルの農村部であるA村のASC候補者となった5人で, この5人が候補者として選出された経緯や性別, 年齢, 職業, 現住所, 出身村, 村での役職, 配偶者の職業, 候補者以外の家族員の村での役...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:兵庫県立大学看護学部・地域ケア開発研究所紀要 2007-03, Vol.14, p.57-65
1. Verfasser: 岩佐真也
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」セネガルでは, 国の方針として基礎保健員(以下ASCと略す)と呼ばれるコミュニティーヘルスワーカーの活動を期待している. しかし, その育成方法は各州・県に委ねられている. 筆者は青年海外協力隊・保健師隊員として, セネガルでの活動の際にASC育成に関わった. その育成時に直面した「人選」の問題を通してASCの適切な選出条件を検討する. 研究対象者は, 1998年9月から2000年1月までにセネガルの農村部であるA村のASC候補者となった5人で, この5人が候補者として選出された経緯や性別, 年齢, 職業, 現住所, 出身村, 村での役職, 配偶者の職業, 候補者以外の家族員の村での役職について比較検討を行った. その結果, 候補者の性別は男性1名女性4名であり, 年齢は20歳代から30歳代であった. 現住所は保健小屋(ASCの活動拠点となる施設)のある村に在住している者が4名, そうでない者が1名であった. 5人の候補者(A氏~E氏)の内ASCに選出された者はE氏であった. それ以外の4名の落選理由は, A氏の場合, 有職(農業)者であることと保健委員長としてA村で活動していることであり, C氏の場合は義父が村長で義母が産婆であるため, D氏はA村外在住であるためだった. また, B氏については候補者となったが, 夫の病気, 自身の妊娠・出産, また産後の健康状態がふるわず, ASCを辞退していた. A村での選出過程を通してセネガルの農村部におけるASCの重要な選出条件は, 1. ASCが保健小屋のある村の出身か, そうでない場合はASCの出身村が保健小屋のある村と関係性が良好であること. 2. ASCとして活動に専念できることを期待されているため, 20~40歳代の無職の者で, かつ女性は近い将来出産の予定がないこと. 3. ASCの一家族内に, 村での重要な役職に就いている者がいないこと. 4. ASCの配偶者が現金収入を得ているといった, ASCの家族の経済状態が安定していることであった.
ISSN:1881-6592