児童青年期のうつ病と薬物療法
抑うつ的な児童・青年の存在は以前より知られていたが, 力動精神医学が優勢な時代には超自我の発達が未熟な児童には典型的なうつ病は生じないと考えられていた. 1970年代から, 年齢と発達段階を考慮すれば, 成人期の診断基準で診断可能と考えられるようになりDSM-IIIでは, 子どものうつ病が取り上げられた. 本邦におけるBirleson抑うつ傾向自己記入式評価尺度を用いた調査では, 抑うつ症状を訴える児童は10%あまりにおよび, 特に小学生よりも中学生, 男児より女児の方が多い. しかし, 「すごく悲しい気がする」, 「泣きたいような気がする」といったうつ病に特異性の高い症状よりも「よく眠れない...
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Veröffentlicht in: | 児童青年精神医学とその近接領域 2019-11, Vol.60 (5), p.638-639 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 抑うつ的な児童・青年の存在は以前より知られていたが, 力動精神医学が優勢な時代には超自我の発達が未熟な児童には典型的なうつ病は生じないと考えられていた. 1970年代から, 年齢と発達段階を考慮すれば, 成人期の診断基準で診断可能と考えられるようになりDSM-IIIでは, 子どものうつ病が取り上げられた. 本邦におけるBirleson抑うつ傾向自己記入式評価尺度を用いた調査では, 抑うつ症状を訴える児童は10%あまりにおよび, 特に小学生よりも中学生, 男児より女児の方が多い. しかし, 「すごく悲しい気がする」, 「泣きたいような気がする」といったうつ病に特異性の高い症状よりも「よく眠れない」, 「やろうと思ったことがうまくできない」, 「すごく退屈な気がする」といった項目で高率に該当する(佐藤ら, 2006). また, DSMのうつ病の診断基準では, 児童青年期では, 期待される体重増加が見られないことを基準とする必要があることだけでなく, 抑うつ気分ではなくいらいらとした気分でもよいとされるなどの相違が見られる. |
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ISSN: | 0289-0968 |