S09-4.児童虐待問題における児童精神科クリニックの現状と課題

少子化の勢いは衰えないにも関わらず, 厚生労働省の報告する全国の児童虐待相談件数は毎年増加の一途であり, 平成27年度の速報値では10万件を突破し, 留まることのないかの様相である. 減少へのターニングポイントは一体どこにあるのかという思いは, 誰もが持つものと思う (厚生労働省, 2017a). 死亡事例などは報道で目にすることが多いせいか, 虐待は児童相談所などの福祉行政と警察などの司法機関の問題として一般に認識される傾向があるかもしれない. しかし, これまでも度々指摘されてきたように, 養育者側の精神保健問題を無視することはできない. 我々は, 医療の現場において, 劣悪な養育環境のた...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:児童青年精神医学とその近接領域 2018/02/01, Vol.59(1), pp.23-29
1. Verfasser: 中野, 育子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:少子化の勢いは衰えないにも関わらず, 厚生労働省の報告する全国の児童虐待相談件数は毎年増加の一途であり, 平成27年度の速報値では10万件を突破し, 留まることのないかの様相である. 減少へのターニングポイントは一体どこにあるのかという思いは, 誰もが持つものと思う (厚生労働省, 2017a). 死亡事例などは報道で目にすることが多いせいか, 虐待は児童相談所などの福祉行政と警察などの司法機関の問題として一般に認識される傾向があるかもしれない. しかし, これまでも度々指摘されてきたように, 養育者側の精神保健問題を無視することはできない. 我々は, 医療の現場において, 劣悪な養育環境のために心身の不調を来たしている子どもや, 過去に自身が虐待あるいはそれに近い環境で育ってきた養育者, DV被害の親子などと多く出会っている. 当院は, 開業してまだ5年しか経っていないクリニックだが, 関係機関から紹介されるケース, 併設する児童家庭支援センターから医療へと回ってくるケースは年々増加, 蓄積しており, 診療業務に占める割合は増えつつある.
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.59.1_23