S04-1.子どもの抗うつ薬の適応とリスク・ベネフィット

「I. はじめに」 子どものうつ病に対して, 三環系抗うつ薬がプラセボに有意に優る有効性を示さないことは繰り返し報告されてきた. 三環系抗うつ薬は, 抗コリン作用(霧視, 口渇, 便秘, 認知機能低下)や心電図QT延長作用があること, 過量服用時には心毒性があることから, 子どものうつ病に三環系抗うつ薬を投与することは, 一般的に正当化されるものではない. 新規抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は, 二重盲検比較試験でプラセボに優る有効性が報告された薬剤群である. なかでもフルオキセチンは, 児童期から青年期の子どものうつ病への有効性が示されており, 米国では, 8歳から1...

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Veröffentlicht in:児童青年精神医学とその近接領域 2017/11/01, Vol.58(5), pp.647-652
1. Verfasser: 岡田, 俊
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「I. はじめに」 子どものうつ病に対して, 三環系抗うつ薬がプラセボに有意に優る有効性を示さないことは繰り返し報告されてきた. 三環系抗うつ薬は, 抗コリン作用(霧視, 口渇, 便秘, 認知機能低下)や心電図QT延長作用があること, 過量服用時には心毒性があることから, 子どものうつ病に三環系抗うつ薬を投与することは, 一般的に正当化されるものではない. 新規抗うつ薬の選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は, 二重盲検比較試験でプラセボに優る有効性が報告された薬剤群である. なかでもフルオキセチンは, 児童期から青年期の子どものうつ病への有効性が示されており, 米国では, 8歳から18歳までの子どものうつ病に適応を取得している. また, エスシタロプラムは, 児童期のうつ病には有効性を示していないものの(Wagner et al., 2006), 青年期のうつ病には有意な効果が報告されており(Emslie et al., 2009), 米国では12歳から17歳の子どものうつ病に適応症を取得している.
ISSN:0289-0968
2424-1652
DOI:10.20615/jscap.58.5_647