視覚喪失したビーグル犬にみられた肉芽腫性髄膜脳脊髄炎
雄のビーグル犬において、9歳9ヶ月齢時に視覚障害が疑われたため、眼科学検査を含む経過観察を実施した。その経過中、10歳4ヶ月齢時に四肢不全麻痺が発症し、予後不良と判断されたため、安楽死の後、病理学検査を実施した。 眼科学検査では、両眼ともに散瞳し、視覚に関する反射反応を消失していたことから、視覚喪失と診断された。眼底検査では、視神経乳頭周囲の黄色化像が認められた。病理学検査では、視神経乳頭の陥凹ならびに乳頭周囲の網脈絡膜萎縮が認められ、左右の視神経で、リンパ球、形質細胞およびマクロファージの浸潤、視神経線維の変性・萎縮が顕著に認められた。また、脳および脊髄においても、囲管性細胞浸潤が広範囲に認...
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Veröffentlicht in: | 比較眼科研究 2009/12/28, Vol.28, pp.15-20 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 雄のビーグル犬において、9歳9ヶ月齢時に視覚障害が疑われたため、眼科学検査を含む経過観察を実施した。その経過中、10歳4ヶ月齢時に四肢不全麻痺が発症し、予後不良と判断されたため、安楽死の後、病理学検査を実施した。 眼科学検査では、両眼ともに散瞳し、視覚に関する反射反応を消失していたことから、視覚喪失と診断された。眼底検査では、視神経乳頭周囲の黄色化像が認められた。病理学検査では、視神経乳頭の陥凹ならびに乳頭周囲の網脈絡膜萎縮が認められ、左右の視神経で、リンパ球、形質細胞およびマクロファージの浸潤、視神経線維の変性・萎縮が顕著に認められた。また、脳および脊髄においても、囲管性細胞浸潤が広範囲に認められ、第5胸髄では、顕著な肉芽腫性炎症が認められた。 これらの結果から、本症例は、眼型の肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)として発症し、これにより視神経が著しく障害され、視覚を喪失したものと考えられた。最終的には、脳・脊髄にも病変が及ぶ播種型GMEに移行し、これにより四肢の不全麻痺が生じたものと考えた。 |
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ISSN: | 0286-7486 2185-8446 |
DOI: | 10.11254/jscvo.28.15 |