法的視点による医療紛争の予防と解決

医療紛争の予防と解決を図るには,紛争の原因によって対処することになる.医療過誤があった場合は,誠実に謝罪し,その原因の究明と除去が求められる.医療過誤がなかった場合でも,偶発症の発生や患者の思い込みによっても紛争が生じる.いずれの場合も,インフォームドコンセントの徹底が役立つが,第三者による説得や法的解決が必要となることもある.歯科医療は外貌に影響を与えるため,特に自由診療においては,患者の主観的嗜好によるクレームが発生する.しかし,あくまでも歯科医療は治療であって,美容医療とは一線を画すことを,事前に理解してもらうことが大切である.一方,歯科医師側においても,患者の訴えを真摯に受け止め,放置...

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Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本口腔インプラント学会誌 2023/06/30, Vol.36(2), pp.108-112
1. Verfasser: 若松, 陽子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Schlagworte:
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:医療紛争の予防と解決を図るには,紛争の原因によって対処することになる.医療過誤があった場合は,誠実に謝罪し,その原因の究明と除去が求められる.医療過誤がなかった場合でも,偶発症の発生や患者の思い込みによっても紛争が生じる.いずれの場合も,インフォームドコンセントの徹底が役立つが,第三者による説得や法的解決が必要となることもある.歯科医療は外貌に影響を与えるため,特に自由診療においては,患者の主観的嗜好によるクレームが発生する.しかし,あくまでも歯科医療は治療であって,美容医療とは一線を画すことを,事前に理解してもらうことが大切である.一方,歯科医師側においても,患者の訴えを真摯に受け止め,放置することなく,適切な対処をすべきである.最近の判例では,リドカイン中毒を見過ごし放置したため死亡に至った事件と,下顎インプラントによる神経麻痺を放置したため後遺症が残った事件を紹介し,警鐘としたい.また,インプラント術後のメインテナンスの必要性を自覚していない歯科医師の存在が,国民生活センターのアンケート調査で判明している.技術と知見を磨くことが最大の紛争予防である.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.36.108