歯科用純チタンおよびチタン合金のフッ化物含有酸性生理食塩水中での電気化学測定

目的:歯科用インプラントに応用されているチタンやその合金は,フッ化物含有溶液中で腐食することが知られている.本研究では,純チタンとチタン合金のフッ化物溶液中での腐食挙動を,金属材料の耐食性評価に効果的な電気化学測定により明らかにし,インプラントとしての耐食性を明らかにすることを目的とした.方法:試料は純チタン(TI),Ti-6Al-4V(TAV)およびTi-7Nb-6Al(TNB)を研磨して用いた.溶液は生理食塩水(SAL)とNaFを含む生理食塩水(NAF)とした.電気化学測定は,ポテンショスタットを用いて37℃に保持した溶液中で,60分までの開回路電位(OCP),分極抵抗値(Rp),アノード...

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Veröffentlicht in:日本口腔インプラント学会誌 2022/03/31, Vol.35(1), pp.16-23
Hauptverfasser: 浅川, 和也, 前川, 修一郎, 今上, 英樹, 老川, 秀紀, 渥美, 美穂子, 佐々木, かおり, 奥森, 直人, 武本, 真治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:目的:歯科用インプラントに応用されているチタンやその合金は,フッ化物含有溶液中で腐食することが知られている.本研究では,純チタンとチタン合金のフッ化物溶液中での腐食挙動を,金属材料の耐食性評価に効果的な電気化学測定により明らかにし,インプラントとしての耐食性を明らかにすることを目的とした.方法:試料は純チタン(TI),Ti-6Al-4V(TAV)およびTi-7Nb-6Al(TNB)を研磨して用いた.溶液は生理食塩水(SAL)とNaFを含む生理食塩水(NAF)とした.電気化学測定は,ポテンショスタットを用いて37℃に保持した溶液中で,60分までの開回路電位(OCP),分極抵抗値(Rp),アノード分極曲線から不動態保持電流密度(I300およびI500)で評価した.結果:SAL中では純チタンおよびチタン合金の60分までのOCP曲線は安定し,Rp値,I300およびI500値から優れた耐食性を示した.一方で,NAF中でのOCP曲線はいずれのチタン合金も徐々に電位が低下し,測定30分以降で急激な電位低下が起こった.また,NAF中でのRp値はSAL中と比較して明らかに小さかった.NAF中でのI300およびI500値はSAL中より大きく,その値はTAVおよびTNBのほうがTIより大きくなり,TAVが最も大きかった.結論:SAL中では純チタンおよびチタン合金も優れた耐食性を維持していた.一方で,NAF中では純チタンおよびチタン合金でも不動態被膜の破壊が起こったが,そのフッ化物による腐食程度は,TIよりTAVおよびTNBで起こりやすいことが示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.35.16