日本人歯周病患者におけるインプラント治療の予後評価に関する臨床症例対照研究

歯周病の既往のある患者は,インプラント周囲組織にも感染が起こりやすいと報告されている.本研究の目的は,日本人患者を対象として,歯周病がインプラント治療の予後に及ぼす影響について臨床的評価・検討を行うことである.調査対象は,東京歯科大学付属病院口腔インプラント科にてインプラントを埋入された日本人患者34名とした.初診時の歯周病検査により,健常患者群(NP群)14名,歯周病患者群(P群)20名の2群に分類した.残存歯数,天然歯におけるBleeding on probing(BOP)およびProbing pocket depth(PPD),Age-related periodontal bone l...

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Veröffentlicht in:日本口腔インプラント学会誌 2020/09/30, Vol.33(3), pp.285-290
Hauptverfasser: 伊藤, 太一, 法月, 良江, 小田, 由香里, 守, 源太郎, 小笠原, 龍一, 喜田, 晃一, 古谷, 義隆, 矢島, 安朝
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:歯周病の既往のある患者は,インプラント周囲組織にも感染が起こりやすいと報告されている.本研究の目的は,日本人患者を対象として,歯周病がインプラント治療の予後に及ぼす影響について臨床的評価・検討を行うことである.調査対象は,東京歯科大学付属病院口腔インプラント科にてインプラントを埋入された日本人患者34名とした.初診時の歯周病検査により,健常患者群(NP群)14名,歯周病患者群(P群)20名の2群に分類した.残存歯数,天然歯におけるBleeding on probing(BOP)およびProbing pocket depth(PPD),Age-related periodontal bone loss(ArB)スコア,インプラント周囲骨の吸収程度(上部構造装着時,上部構造装着後3年経過時)の評価を行った.なお,すべての症例は適切な歯周病治療が行われた後,インプラント治療へ移行した.治療後3年以上経過症例において,BOP,4 mm以上のPPD歯率,6 mm以上のPPD歯率でも両群間で有意な差は認められなかった.ArBスコアでも有意な差は認められなかった.インプラントにおいて試験期間中の脱落はなく,インプラント周囲骨の吸収程度はわずかであった.しかし,両群間においてインプラント周囲骨吸収程度で有意差が認められた.歯周病臨床パラメータの結果から,確立された術前の歯周病治療,術後のメインテナンスを行うことで,歯周病悪化リスクが軽減されることが示唆された.
ISSN:0914-6695
2187-9117
DOI:10.11237/jsoi.33.285