上顎洞底挙上術において術前CT診断と3D骨模型による術前シミュレーションで動脈の損傷を回避できた1症例
上顎の臼歯部欠損へのインプラント治療では,顎堤の吸収により上顎洞に対する骨造成術を必要とする場合が多い.ラテラルウィンドウテクニックによる上顎洞底挙上術は上顎洞前壁に骨窓を形成する必要があるが,骨窓の形成を安全に行うためには,上顎洞前壁に存在する血管に注意しなければならない.今回,われわれは本法の適用にあたり,骨窓の位置に血管の存在を認める症例に遭遇したので,症例の概要と手術内容を報告する.術前計画にあたって診断用ステントを作製し,インプラント埋入計画をシミュレーションソフトにて立案した.骨窓の位置を確認したところ,上顎洞前壁および上顎洞底に走行する血管を認めた.血管の位置を確認するために3D...
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Veröffentlicht in: | 日本口腔インプラント学会誌 2019/12/31, Vol.32(4), pp.346-350 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 上顎の臼歯部欠損へのインプラント治療では,顎堤の吸収により上顎洞に対する骨造成術を必要とする場合が多い.ラテラルウィンドウテクニックによる上顎洞底挙上術は上顎洞前壁に骨窓を形成する必要があるが,骨窓の形成を安全に行うためには,上顎洞前壁に存在する血管に注意しなければならない.今回,われわれは本法の適用にあたり,骨窓の位置に血管の存在を認める症例に遭遇したので,症例の概要と手術内容を報告する.術前計画にあたって診断用ステントを作製し,インプラント埋入計画をシミュレーションソフトにて立案した.骨窓の位置を確認したところ,上顎洞前壁および上顎洞底に走行する血管を認めた.血管の位置を確認するために3Dプリンターで上顎骨の骨模型を作製し,模型上で骨窓の形成のシミュレーションを行った.術前計画に基づき上顎洞底挙上術を施行した.術中術後に異常出血などの合併症はみられず経過良好であった.最終上部構造の装着後2年経過時において,インプラント周囲骨に著しい骨吸収は認められず,プラークコントロールは良好であった.われわれは,ラテラルウィンドウテクニックによる上顎洞底挙上術において,骨窓の位置に血管の走行を伴う症例を経験した.術前計画においてCTデータによる画像診断と3Dプリンターで作製した骨模型で術前にシミュレーションを行うことによって,事前に血管の存在を発見し,位置を把握することで術中における血管の損傷を最小限にすることができた. |
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ISSN: | 0914-6695 2187-9117 |
DOI: | 10.11237/jsoi.32.346 |