特集 インプラント周囲炎を再考する : 予防から治療まで はじめに

ブレードインプラント時代からインプラント周囲炎は存在したが, two stageインプラントが主流になり, 種々のインプラント表面性状が採用されたことで, ますますその問題は複雑となった. 適切ではないかもしれないが, あえて病因論を大きく二分すれば歯周病学的観点と生体力学的観点の二つになるであろう. 前者は, 1980年代後半から90年代にかけて, bone levelでplat formとそれに連結されるabutment界面のmicro gapが論争の中心であった. すなわち, そのgapによるcontaminationが, インプラント周囲炎を惹起するというものである. two-stag...

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Veröffentlicht in:日本口腔インプラント学会誌 2016-12, Vol.29 (4), p.207-207
Hauptverfasser: 小田茂, 堀田康記
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ブレードインプラント時代からインプラント周囲炎は存在したが, two stageインプラントが主流になり, 種々のインプラント表面性状が採用されたことで, ますますその問題は複雑となった. 適切ではないかもしれないが, あえて病因論を大きく二分すれば歯周病学的観点と生体力学的観点の二つになるであろう. 前者は, 1980年代後半から90年代にかけて, bone levelでplat formとそれに連結されるabutment界面のmicro gapが論争の中心であった. すなわち, そのgapによるcontaminationが, インプラント周囲炎を惹起するというものである. two-stageインプラントのブローネマルク型とその当時one-stage (tissue level)のITI straumannの学会での論争は記憶に新しい. その後, Dr. Carl E. MISCHが, ネック部の応力集中が骨吸収の原因であることを再認識させ, ネック部の表面積を大きくすることの重要性を説いた. いわゆるストレス学説である. パラファンクションによるものもその範疇に入るであろう. その一方で, 材料学的に, チタンやハイドロキシアパタイト(HA)等の表面性状との関係も議論され続けている. また, 近年, 骨吸収に対しplat formからabutmentの移行部でoffsetのある, いわゆるplat-form siftingの優位性も報告されている. もちろん, それ以前に局所的なインプラントネック部の残存骨の解剖学的形態・骨質, それに全身的な要素も当然考慮されねばならない. 本稿は, 第45回日本口腔インプラント学会学術大会におけるシンポジウム9の内容を3人のシンポジストにお願いして要約したものである. シンポジウムの内容が, 「インプラント周囲炎を再考する : 予防から治療まで」という大きな課題であったため, 焦点が絞りにくくエビデンス不足の感は否めないが, 現実には, 日々の臨床で接している問題でもある. インプラントカラー部の形状・性状の問題から, 近年注目されている全身的リスクファクター, さらには, 実際の臨床であるインプラント周囲炎の非外科的対処法について論じた. 今回のシンポジウムから結論等を導き出すことは困難であるが, こうした科学的根拠を踏まえることで, 日々の臨床に役立つことができれば幸いである.
ISSN:0914-6695