術前より漏斗胸を有する乳幼児に対する肺切除術
【目的】先天性囊胞性肺疾患において,術後に発症するものだけでなく術前からも漏斗胸を合併しやすいと言われている.一般的に肺切除術後には残存肺の代償性成長が起きるが,漏斗胸を合併した場合には胸腔が狭いために代償性成長が妨げられる可能性がある.そこで,当科において解剖学的肺切除術または分画肺摘出術を行った症例について,漏斗胸合併の有無に着目して術後の胸郭変形と手術の至適時期について後方視的に検討した.【方法】2008年7月~2021年6月の13年間に,当院において解剖学的肺切除を行った症例を対象とし,症例の背景,漏斗胸合併の有無,術前後での患側胸腔形態の変化,治療成績を診療録より後方視的に検討した....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本小児外科学会雑誌 2023/10/20, Vol.59(6), pp.973-978 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 【目的】先天性囊胞性肺疾患において,術後に発症するものだけでなく術前からも漏斗胸を合併しやすいと言われている.一般的に肺切除術後には残存肺の代償性成長が起きるが,漏斗胸を合併した場合には胸腔が狭いために代償性成長が妨げられる可能性がある.そこで,当科において解剖学的肺切除術または分画肺摘出術を行った症例について,漏斗胸合併の有無に着目して術後の胸郭変形と手術の至適時期について後方視的に検討した.【方法】2008年7月~2021年6月の13年間に,当院において解剖学的肺切除を行った症例を対象とし,症例の背景,漏斗胸合併の有無,術前後での患側胸腔形態の変化,治療成績を診療録より後方視的に検討した.【結果】症例は6例であり,男児が3例,女児が3例であった.対象疾患は先天性肺気道奇形が3例,肺分画症が2例,肺膿瘍が1例であり,そのうち漏斗胸を合併していたのは2例であった.手術は肺葉切除術が4例,区域切除術が1例,分画肺摘出術が1例であり,漏斗胸合併症例は2例とも胸骨挙上術を同時に行っていなかった.術後の胸腔変形において,有意差を認めなかったものの漏斗胸を合併した症例では左右方向への縦隔の偏位は小さく,頭尾方向の変形が大きい傾向にあった.また,術後に撮影した胸部CT検査では2例とも胸骨陥凹が軽度改善していた.【結論】漏斗胸を合併した症例においては健側の残存肺が代償性成長を得られにくい可能性あるが,切除後に胸骨陥凹が改善傾向を認めることがあるため,特に切除肺の容積が小さいとき二期的手術を検討すべきである. |
---|---|
ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.59.6_973 |