腹腔鏡による観察の後に外科治療方針を決定した交叉性精巣転位症の1例

「要旨」交叉性精巣転位症(以下, 本症)は, 片側精巣が正中線を越えて転位し, 対側の腹腔内や鼠径管・陰嚢内に停留する比較的まれな疾患である. 今回, 腹腔鏡により外科治療方針を決定した本症を経験したので, 報告する. 症例は10か月, 男児. 1か月健診で左非触知精巣を指摘され, MRI検査にて右陰嚢内と右鼠径管内に精巣を一つずつ認めたため, 本症が疑われ, 手術加療を行った. 腹腔鏡で観察すると右内鼠径輪の開存を認め, ヘルニア嚢内の右陰嚢底部および右内鼠径輪近傍の腹腔内にそれぞれ精巣を認めた. 腹腔内精巣の精索は, 左内鼠径輪近傍から膀胱前面を横切り, 腹腔内精巣へと連続していた. 左精...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2023-04, Vol.59 (2), p.208-211
Hauptverfasser: 川脇拓磨, 文野誠久, 嶋村藍, 深田良一, 竹本正和, 高山勝平, 金聖和, 東真弓, 青井重善
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」交叉性精巣転位症(以下, 本症)は, 片側精巣が正中線を越えて転位し, 対側の腹腔内や鼠径管・陰嚢内に停留する比較的まれな疾患である. 今回, 腹腔鏡により外科治療方針を決定した本症を経験したので, 報告する. 症例は10か月, 男児. 1か月健診で左非触知精巣を指摘され, MRI検査にて右陰嚢内と右鼠径管内に精巣を一つずつ認めたため, 本症が疑われ, 手術加療を行った. 腹腔鏡で観察すると右内鼠径輪の開存を認め, ヘルニア嚢内の右陰嚢底部および右内鼠径輪近傍の腹腔内にそれぞれ精巣を認めた. 腹腔内精巣の精索は, 左内鼠径輪近傍から膀胱前面を横切り, 腹腔内精巣へと連続していた. 左精巣を左内鼠径輪から下降させるには精索の剥離範囲が広いため, 両側精巣を右鼠径部創から導出し, 精索のより長い右精巣を陰嚢中隔を通して左陰嚢内に固定した. 左精巣は右陰嚢内に固定した. 術後6か月の現在, 明らかな精巣萎縮や位置異常は認めていない.
ISSN:0288-609X