肺高血圧症の経過観察中に肝内門脈の開存を認め,シャント結紮術を施行した先天性門脈欠損症の1例

症例は14歳,女児.1か月時に高ガラクトース血症を指摘され,先天性門脈欠損症,肺高血圧症,心房中隔欠損症,多脾症候群,下大静脈欠損と診断した.肝移植を検討したが,肺生検の結果,肺小動脈形成不全があり移植不適合と判断した.肺高血圧症は重症であったが,症状の進行は比較的緩徐であった.14歳時に施行した血管造影で低形成ながら肝内門脈が確認され,外科的シャント血管結紮術の適応と判断した.術中門脈圧測定ではシャント血管のテスト結紮にて圧上昇は認めず,腸管うっ血所見もなかったことから,完全結紮とした.術後はシャント率の改善を認め,術後1年まで大きな合併症なく経過している.先天性門脈欠損症と診断されていても...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2022/06/20, Vol.58(4), pp.747-752
Hauptverfasser: 田中, 尚, 増本, 幸二, 小野, 健太郎, 村上, 卓, 田川, 学, 堀米, 仁志, 森, 健作
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は14歳,女児.1か月時に高ガラクトース血症を指摘され,先天性門脈欠損症,肺高血圧症,心房中隔欠損症,多脾症候群,下大静脈欠損と診断した.肝移植を検討したが,肺生検の結果,肺小動脈形成不全があり移植不適合と判断した.肺高血圧症は重症であったが,症状の進行は比較的緩徐であった.14歳時に施行した血管造影で低形成ながら肝内門脈が確認され,外科的シャント血管結紮術の適応と判断した.術中門脈圧測定ではシャント血管のテスト結紮にて圧上昇は認めず,腸管うっ血所見もなかったことから,完全結紮とした.術後はシャント率の改善を認め,術後1年まで大きな合併症なく経過している.先天性門脈欠損症と診断されていても,本例のように安全にシャント結紮術を施行しうる症例があることから,有症状例では必要に応じて血管造影検査などの評価を繰り返し行い,治療適応を判断することが重要と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.58.4_747