声門下囊胞の治療適応と手術術式に関する検討

【目的】声門下囊胞は気管挿管後に見られる上気道狭窄の原因の1つで,報告は少ない.当科での経験から治療適応と手術術式について検討した.【方法】2018年1月~2019年12月に当院で経験した6例について診療録から後方視的に患者背景,重症度,手術術式,術後経過について検討した.【結果】男児5例,女児1例で,在胎週数は中央値28週,出生体重は中央値991 gだった.全例気管挿管の既往があり,挿管日数は中央値11日間だった.診断時の月齢は中央値5か月,体重は中央値4.5 kgだった.主訴は陥没呼吸,チアノーゼ,反復するクループ症候群,喘鳴だった.全例で硬性気管支鏡検査を施行し,声門下腔の狭窄程度の評価...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2021/02/20, Vol.57(1), pp.10-17
Hauptverfasser: 高成田, 祐希, 津川, 二郎, 服部, 健吾, 久松, 千恵子, 土居, ゆみ, 西島, 栄治
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】声門下囊胞は気管挿管後に見られる上気道狭窄の原因の1つで,報告は少ない.当科での経験から治療適応と手術術式について検討した.【方法】2018年1月~2019年12月に当院で経験した6例について診療録から後方視的に患者背景,重症度,手術術式,術後経過について検討した.【結果】男児5例,女児1例で,在胎週数は中央値28週,出生体重は中央値991 gだった.全例気管挿管の既往があり,挿管日数は中央値11日間だった.診断時の月齢は中央値5か月,体重は中央値4.5 kgだった.主訴は陥没呼吸,チアノーゼ,反復するクループ症候群,喘鳴だった.全例で硬性気管支鏡検査を施行し,声門下腔の狭窄程度の評価方法として,声門下腔狭窄症の分類であるMyer-Cotton分類を準用した.6例のうち3例をGrade I,残り3例をGrade II以上と評価した.Grade Iの3例は,症状が軽快していたため,診断時は経過観察の方針とした.全例で硬性気管支鏡検査を再検した.3例のうち2例は囊胞病変が残存しており,手術を施行した.Grade II以上の3例は,診断後に手術を施行した.手術施行した5例のうち3例は囊胞穿刺術を,2例は囊胞開窓術を行った.囊胞穿刺術を行った3例では2例が再発し,囊胞穿刺術または囊胞開窓術を追加した.初回治療で囊胞開窓術を施行した2例では現在再発を認めていない.【結論】声門下囊胞の診断と重症度評価には硬性気管支鏡検査が有用である.囊胞の大きさに関わらず,症状があれば治療の適応である.手術術式として,囊胞穿刺術は簡便で緊急時にも有用だが,囊胞開窓術の方が再発率は低く根治的である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.57.1_10