繰り返す腹痛と発育不良を認めた小児腸間膜脂肪腫の1例

症例は7歳男児.腹痛と嘔吐を主訴に小児科を受診.腹部単純X線検査でイレウス像,腹部超音波検査で腹腔内充実性腫瘍を認め,入院した.CTとMRIで腸間膜脂肪腫と診断,保存的治療で腸閉塞は軽快し,待機的手術を施行した.回腸末端より80 cm口側の小腸間膜に境界明瞭で辺縁平滑な被膜を有する黄色調の弾性軟腫瘍を認め,腫瘍を含めた小腸合併切除術を施行した.腫瘍は大きさ8.5×8.0×3.0 cm,病理組織学的検査で成熟脂肪細胞よりなる腸間膜脂肪腫と診断された.本症は弾性軟の脂肪腫が可動性のある腸間膜に発生し,大きさや局在により腸閉塞の発症と解除を繰り返すことがある.本症例では,幼児期より認めた反復する腹痛...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2020/12/20, Vol.56(7), pp.1150-1155
Hauptverfasser: 菅沼, 理江, 森井, 真也子, 蛇口, 琢, 渡部, 亮, 東, 紗弥, 山形, 健基, 林, 海斗, 水野, 大, 大塚, 美穂子, 吉野, 裕顕
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は7歳男児.腹痛と嘔吐を主訴に小児科を受診.腹部単純X線検査でイレウス像,腹部超音波検査で腹腔内充実性腫瘍を認め,入院した.CTとMRIで腸間膜脂肪腫と診断,保存的治療で腸閉塞は軽快し,待機的手術を施行した.回腸末端より80 cm口側の小腸間膜に境界明瞭で辺縁平滑な被膜を有する黄色調の弾性軟腫瘍を認め,腫瘍を含めた小腸合併切除術を施行した.腫瘍は大きさ8.5×8.0×3.0 cm,病理組織学的検査で成熟脂肪細胞よりなる腸間膜脂肪腫と診断された.本症は弾性軟の脂肪腫が可動性のある腸間膜に発生し,大きさや局在により腸閉塞の発症と解除を繰り返すことがある.本症例では,幼児期より認めた反復する腹痛が手術により改善し,体重増加が得られた.腸間膜脂肪腫は稀な疾患であるが,繰り返し発症する腸閉塞により小児の成長発育障害をきたす可能性がある.小児における反復性腹痛や発育不良は器質的疾患を疑うべき重要な所見であると考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.7_1150