小児縦隔気腫9例の臨床像と治療アルゴリズムの検討
【目的】小児縦隔気腫は比較的稀な病態で,その背後に外傷による気管・気管支損傷,食道穿孔などが潜んでいる可能性から入院加療とすることが多い.治療は安静が基本で,縦隔炎予防のため抗菌薬を投与されることがあるが,明確な治療指針は確立されていない.当院での小児縦隔気腫症例を検討し,治療指針を提案する.【方法】2005年9月から2018年11月の間に当院で縦隔気腫と診断された小児症例を対象に,患者背景,臨床症状,誘因,画像検査,経過等について診療録から後方視的に検討した.【結果】対象は男児8例,女児1例.発症年齢は4歳から14歳(中央値7歳).主訴は胸痛が5例と最多で,その他背部痛や咽頭痛がみられた.誘...
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Veröffentlicht in: | 日本小児外科学会雑誌 2020/12/20, Vol.56(7), pp.1082-1087 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Zusammenfassung: | 【目的】小児縦隔気腫は比較的稀な病態で,その背後に外傷による気管・気管支損傷,食道穿孔などが潜んでいる可能性から入院加療とすることが多い.治療は安静が基本で,縦隔炎予防のため抗菌薬を投与されることがあるが,明確な治療指針は確立されていない.当院での小児縦隔気腫症例を検討し,治療指針を提案する.【方法】2005年9月から2018年11月の間に当院で縦隔気腫と診断された小児症例を対象に,患者背景,臨床症状,誘因,画像検査,経過等について診療録から後方視的に検討した.【結果】対象は男児8例,女児1例.発症年齢は4歳から14歳(中央値7歳).主訴は胸痛が5例と最多で,その他背部痛や咽頭痛がみられた.誘因は喘息発作が5例と最多で,外傷が2例,大声を出したことによると思われるものが1例,原因不明が1例であった.全例胸部レントゲンで診断しており,6例はさらに胸部CT,うち1例は外傷による臓器損傷の有無を確認するために造影CTを施行した.また嚥下困難を訴えた1例では食道造影を行った.入院は8例で,外傷の1例と重症喘息発作1例が小児集中治療室(PICU)に入室した.入院期間は3~8日(中央値4日)で,全例安静のみで症状は改善し,4例で抗菌薬の投与が行われた.いずれも縦隔炎の併発及び縦隔気腫の再発は認めなかった.【結論】縦隔気腫は安静のみで軽快し,入院日数は喘息の治療や外傷などの経過観察により規定されていた.近年,小児縦隔気腫に対しては必ずしも入院加療は必要ではないという報告があり,バイタルサインや誘因によって治療方針を決定することを提案する. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.56.7_1082 |