後天性回腸閉鎖の1例

症例は日齢45の女児で,在胎37週0日,出生体重2,180 g.胎児エコーで消化管拡張を指摘されていたが,出生後の成長発育に問題はなかった.腹部膨満および嘔吐を主訴に当院小児科を救急受診した.腹部レントゲンで多数の鏡面像を認め,イレウスと診断した.経鼻胃管挿入で腹部膨満が改善せず,腹部CTにて回腸末端部に何らかの器質的閉塞が疑われ,緊急手術を施行した.開腹所見では,小腸全体が著明に拡張していたが,壊死部位はみられなかった.回腸末端から40 cm口側の小腸がbandにより圧迫され,回腸閉鎖をおこしていた.回盲部および拡張腸管を切除し,吻合した.術後経過は順調で術後第11病日に軽快退院した.現在術...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2020/04/20, Vol.56(2), pp.205-209
Hauptverfasser: 杉原, 哲郎, 大橋, 伸介, 芦塚, 修一
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は日齢45の女児で,在胎37週0日,出生体重2,180 g.胎児エコーで消化管拡張を指摘されていたが,出生後の成長発育に問題はなかった.腹部膨満および嘔吐を主訴に当院小児科を救急受診した.腹部レントゲンで多数の鏡面像を認め,イレウスと診断した.経鼻胃管挿入で腹部膨満が改善せず,腹部CTにて回腸末端部に何らかの器質的閉塞が疑われ,緊急手術を施行した.開腹所見では,小腸全体が著明に拡張していたが,壊死部位はみられなかった.回腸末端から40 cm口側の小腸がbandにより圧迫され,回腸閉鎖をおこしていた.回盲部および拡張腸管を切除し,吻合した.術後経過は順調で術後第11病日に軽快退院した.現在術後7年経過したが,成長発達に問題はない.稀な後天性回腸閉鎖の1例を経験した.本症例は,出生前から存在したbandによる血流障害が緩徐に進行し,出生後に腸閉鎖に至ったと考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.2_205