腹腔鏡で確認できた虫垂捻転の小児の1例

8歳男児.前医で急性虫垂炎に対して保存的治療が行われていたが,腹痛が遷延するため当科紹介入院となった.急性虫垂炎の再燃と診断し,保存的加療後に退院したが,翌日に腹痛が再燃し再入院した.再入院時,血液検査で炎症所見は認めず,造影CTで虫垂遠位端に17 mm大の腫大を認めた.虫垂炎の再燃初期または虫垂周囲の癒着による痛みと診断し,手術適応と考え,腹腔鏡補助下虫垂切除術の方針とした.腹腔内を観察すると,虫垂が反時計回りに180°捻転し大網との癒着で固定されており,虫垂捻転と診断した.虫垂の壊死性変化は認めず,大網との癒着を剥離し虫垂を切除した.切除標本は虫垂間膜が短縮し,遠位端に漿液が貯留していた....

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2020/04/20, Vol.56(2), pp.194-199
Hauptverfasser: 小松崎, 尚子, 金田, 聡
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:8歳男児.前医で急性虫垂炎に対して保存的治療が行われていたが,腹痛が遷延するため当科紹介入院となった.急性虫垂炎の再燃と診断し,保存的加療後に退院したが,翌日に腹痛が再燃し再入院した.再入院時,血液検査で炎症所見は認めず,造影CTで虫垂遠位端に17 mm大の腫大を認めた.虫垂炎の再燃初期または虫垂周囲の癒着による痛みと診断し,手術適応と考え,腹腔鏡補助下虫垂切除術の方針とした.腹腔内を観察すると,虫垂が反時計回りに180°捻転し大網との癒着で固定されており,虫垂捻転と診断した.虫垂の壊死性変化は認めず,大網との癒着を剥離し虫垂を切除した.切除標本は虫垂間膜が短縮し,遠位端に漿液が貯留していた.病理組織所見では内腔の一部が狭小化し固有筋層の肥厚が見られたが腫瘤性病変は認めなかった.近年,虫垂炎に対して保存的治療のみで軽快する症例や保存的加療後に待機的に虫垂切除術を行うことがあるが,手術待機中に腹痛が遷延する場合は早期手術が必要な本疾患も念頭におく必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.2_194