先天性頸部唾液腺瘻の1例

頸部の瘻孔性病変は小児外科領域ではしばしば遭遇するが,正常顎下腺に由来する唾液腺瘻は極めて稀である.症例は2歳,男児.瘻孔の部位は左胸鎖乳突筋中央前縁であり,出生時より透明な粘液を排出していた.側頸瘻の術前診断で手術施行したが,皮下に1 cm大の囊胞を認め,囊胞は頭側に向かい左顎下部でたこ足状に分岐し,瘻管はすべて左の顎下腺に連続していた.顎下腺の位置および形状は正常で,Wharton管は左右とも口腔底の正常位置に開口し異所性開口は認めなかった.瘻管が分岐する顎下腺の一部を含めて囊胞および瘻管を摘出し,顎下腺は温存した.瘻管内腔は多列円柱上皮に覆われていた.術後経過は良好で4年を経過し,現在再...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2017/12/20, Vol.53(7), pp.1316-1319
Hauptverfasser: 森井, 真也子, 蛇口, 琢, 渡部, 亮, 東, 紗弥, 山形, 健基, 吉野, 裕顕
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:頸部の瘻孔性病変は小児外科領域ではしばしば遭遇するが,正常顎下腺に由来する唾液腺瘻は極めて稀である.症例は2歳,男児.瘻孔の部位は左胸鎖乳突筋中央前縁であり,出生時より透明な粘液を排出していた.側頸瘻の術前診断で手術施行したが,皮下に1 cm大の囊胞を認め,囊胞は頭側に向かい左顎下部でたこ足状に分岐し,瘻管はすべて左の顎下腺に連続していた.顎下腺の位置および形状は正常で,Wharton管は左右とも口腔底の正常位置に開口し異所性開口は認めなかった.瘻管が分岐する顎下腺の一部を含めて囊胞および瘻管を摘出し,顎下腺は温存した.瘻管内腔は多列円柱上皮に覆われていた.術後経過は良好で4年を経過し,現在再発や顎下腺炎は認めていない.今回,正常顎下腺に由来する先天性頸部唾液腺瘻の1例を経験したので報告する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.53.7_1316