患者のQOLに与える影響を考慮した新たな排便機能評価試案の検討-第1報

【目的】直腸肛門奇形研究会では,登録症例の長期予後追跡調査(JASGAP)を計画し,適切な臨床的機能評価法を検討している.術後評価する際は,QOLに影響する排便状態や必要な治療に関して重み付するほうが状態をより正確で妥当に推論できると考えられることから,この問題点を解決するため,新たな機能評価案を作成し検討した.【方法】患者97例(Cloaca8,高位型34,中間位型18,低位型37例)および専門医38名を対象とし,排便状況および排便管理がQOLに与える影響をFacial Rating Scale(FRS)で表現した15の質問調査を行った.回答に基づき,失禁,便秘,汚染,便意,排便管理の5領域...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2011/02/20, Vol.47(1), pp.35-46
Hauptverfasser: 上野, 滋, 森川, 康英, 岩井, 潤, 奥山, 直樹, 越永, 従道, 鈴木, 則夫, 高松, 英夫, 田口, 智章, 渕本, 康史, 松藤, 凡, 八木, 誠
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】直腸肛門奇形研究会では,登録症例の長期予後追跡調査(JASGAP)を計画し,適切な臨床的機能評価法を検討している.術後評価する際は,QOLに影響する排便状態や必要な治療に関して重み付するほうが状態をより正確で妥当に推論できると考えられることから,この問題点を解決するため,新たな機能評価案を作成し検討した.【方法】患者97例(Cloaca8,高位型34,中間位型18,低位型37例)および専門医38名を対象とし,排便状況および排便管理がQOLに与える影響をFacial Rating Scale(FRS)で表現した15の質問調査を行った.回答に基づき,失禁,便秘,汚染,便意,排便管理の5領域でスコア化し,患者と専門医の回答を比較した上で,評価案を作成,患者の病型毎に比較検討した.【結果】試案は,上記5領域各3点満点とし,患者と専門医間で認識に差のある項目では,患者回答に基づき評価した.患者の病型毎のスコアの比較では,汚染スコアを除き,失禁,便意,便秘,排便管理スコアいずれも,低位,中間位,高位,Cloaca型の順に低スコアとなった.患者全体の状態をスコアの単純和,各領域の最低スコアで患者の病型毎に比較するといずれも上記順に低スコアとなった.【考察】本機能評価試案は,QOLに与える影響を考慮した新たな評価法である.今後,JASGAPの評価法として用いるため,研究会試案と比較検討するなど,さらに妥当性を検証した上で,直腸肛門奇形研究会からの排便機能評価案として提案したい.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.47.1_35