腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC法)の現状と問題点

【目的】当院では2004年より小児鼠径ヘルニア(以下本症)に対し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC法)を標準術式としている.最近4年間の手術症例を後方視的に検討し,LPEC法の利点と問題点を考察する.【対象と方法】2005年4月から2009年3月までの本症497例中LPEC法を施行した482例(男児306例,女児176例)を対象とした.手術方法は,initial port(3mm)を臍底部より挿入.Working portを側腹部に挿入し,ラパヘルクロージャー^[○!R]を用い内鼠径輪部にてヘルニア嚢根部の体外結紮を行った.術中対側の検索も行い,腹膜鞘状突起の開存があれば閉鎖術を施行した.嵌...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2010/10/20, Vol.46(6), pp.925-929
Hauptverfasser: 春本, 研, 塩川, 智司, 権, 英寿, 山道, 拓, 辻本, 嘉助
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】当院では2004年より小児鼠径ヘルニア(以下本症)に対し,腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(LPEC法)を標準術式としている.最近4年間の手術症例を後方視的に検討し,LPEC法の利点と問題点を考察する.【対象と方法】2005年4月から2009年3月までの本症497例中LPEC法を施行した482例(男児306例,女児176例)を対象とした.手術方法は,initial port(3mm)を臍底部より挿入.Working portを側腹部に挿入し,ラパヘルクロージャー^[○!R]を用い内鼠径輪部にてヘルニア嚢根部の体外結紮を行った.術中対側の検索も行い,腹膜鞘状突起の開存があれば閉鎖術を施行した.嵌頓症例に対しては用手還納後入院の上,可及的早期の待機的手術を行った.【結果】再発症例は1例であった.高度の卵管滑脱型であり,卵管の遠位端で結紮を行ったが結果的に低位結紮となったのが原因と推察された.対側発生は今までのところ1例も認めていない.1例で術中に大腿ヘルニアの合併を認めLPEC法にて修復し得た.術後合併症として2例に臍部の創からの大網脱出がみられた.【結論】LPEC法は安全性が高く有用な術式である.利点として腹腔内の観察,および処置が可能であること,嵌頓後間もない症例でも手術の困難性がないことが挙げられる.問題点として,高度の卵管滑脱型に対しては術式の再検討が必要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.46.6_925