シングルポート法による胎児鏡下バルーン気管閉塞術 : 妊娠羊を用いた実験的検討

【目的】近年,最重症の先天性横隔膜ヘルニアに対して,胎児鏡下バルーン気管閉塞術の有用性が報告されている.しかしその臨床応用にあたっては,胎児鏡下手術に習熟して母体ならびに胎児の安全性を確保することが必要不可欠である.今回我々は,羊胎仔に対してシングルポート法による胎仔鏡下バルーン気管閉塞術を行い,その安全性や技術的側面について検討した.【対象および方法】妊娠110日前後の羊5頭を対象として,全身麻酔下に開腹し5mmポートを子宮内に挿入した.このポートより紺子口付きの胎仔鏡を胎仔気管内に挿入し,離脱型バルーンを留置した.手技の終了後に母獣を麻酔より覚醒させ,胎仔の生存を確認した.術後妊娠を継続し...

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Veröffentlicht in:日本小児外科学会雑誌 2008/06/20, Vol.44(4), pp.581-584
Hauptverfasser: 奥山, 宏臣, 窪田, 昭男, 川原, 央好, 長谷川, 利路, 上野, 豪久, 渡邉, 高士, 森下, 祐次, 阪, 龍太, 香河, 清和, 小野, 理恵, 臼井, 規朗
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【目的】近年,最重症の先天性横隔膜ヘルニアに対して,胎児鏡下バルーン気管閉塞術の有用性が報告されている.しかしその臨床応用にあたっては,胎児鏡下手術に習熟して母体ならびに胎児の安全性を確保することが必要不可欠である.今回我々は,羊胎仔に対してシングルポート法による胎仔鏡下バルーン気管閉塞術を行い,その安全性や技術的側面について検討した.【対象および方法】妊娠110日前後の羊5頭を対象として,全身麻酔下に開腹し5mmポートを子宮内に挿入した.このポートより紺子口付きの胎仔鏡を胎仔気管内に挿入し,離脱型バルーンを留置した.手技の終了後に母獣を麻酔より覚醒させ,胎仔の生存を確認した.術後妊娠を継続し,1週間後に胎仔肺を取り出してバルーンによる気管閉塞効果を評価した.【結果】胎仔鏡の視野は羊水腔内でも良好であり,全例でバルーンを気管内に留置することができた.術中の合併症はなく,5頭全例で術後胎仔の生存を確認できた.5頭中2頭では術後1週間妊娠を継続でき,うち1頭では腫大した肺と腹水を認め,バルーンによる気管閉塞効果が確認できた.【まとめ】本実験により,シングルポート法による胎児鏡下バルーン気管閉塞術が技術的には実施可能であることが示された.また,妊娠羊を用いた本実験系は,臨床応用に向けた胎児鏡手技の習熟に有用と考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.44.4_581