幼児の大伏在静脈より発生した血管奇形の1例
四肢における血管奇形は,先天的なもので,特に嚢腫状の静脈奇形や動静脈奇形は,乳児期には目立たないが,幼児期以降に腫脹をきたすことがある.下肢にみられる静脈瘤は,一般に中高年の女性に多くみられ,幼児の大伏在静脈近傍に動静脈奇形が認められる症例は極めて少ない.症例は6歳の女児で,左大腿鼠径部下縁に軟部腫瘤を認め,超音波検査により腫瘤内の血液の逆流状況から静脈弁の崩壊が示唆され,さらに3D-CTにて嚢腫状の血管奇形の形態が明確に描出された.ところが,摘出標本に対する病理組織学的検査の結果,静脈に伴走した動脈の所見が認められ,さらに静脈血管における内腔の奇形や動脈壁の奇形を認めたため,左大腿鼠径部下縁...
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Veröffentlicht in: | 日本小児外科学会雑誌 2008/04/20, Vol.44(2), pp.139-144 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 四肢における血管奇形は,先天的なもので,特に嚢腫状の静脈奇形や動静脈奇形は,乳児期には目立たないが,幼児期以降に腫脹をきたすことがある.下肢にみられる静脈瘤は,一般に中高年の女性に多くみられ,幼児の大伏在静脈近傍に動静脈奇形が認められる症例は極めて少ない.症例は6歳の女児で,左大腿鼠径部下縁に軟部腫瘤を認め,超音波検査により腫瘤内の血液の逆流状況から静脈弁の崩壊が示唆され,さらに3D-CTにて嚢腫状の血管奇形の形態が明確に描出された.ところが,摘出標本に対する病理組織学的検査の結果,静脈に伴走した動脈の所見が認められ,さらに静脈血管における内腔の奇形や動脈壁の奇形を認めたため,左大腿鼠径部下縁の軟部腫瘤を,動静脈奇形と診断した.四肢皮下に発症した動静脈奇形に対する硬化療法や経動脈的塞栓術は姑息的治療であり,外科的治療は完全摘出が基本である.術後も局所再発を含めた長期観察が必要であると考える. |
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ISSN: | 0288-609X 2187-4247 |
DOI: | 10.11164/jjsps.44.2_139 |