S状結腸癌に対する大腸ステント追加留置により食道静脈瘤,肝細胞癌に対する治療継続が可能であった肝硬変の一例

症例は70歳男性。アルコール性肝障害とC型肝炎に起因する肝硬変,肝細胞癌,食道静脈瘤のため,当院での加療歴があるが通院を自己中断していた。最終受診から2年後に腹痛,血便あり他院に救急搬送された。精査の結果,S状結腸癌による大腸閉塞と診断されメタリックステント (self-expandable metallic stent: SEMS) を留置され退院となった。肝疾患の精査加療を目的に当院を紹介され入院となった。精査の結果,肝硬変 (Child-Pugh; Grade B),肝細胞癌 (cT3N0M0, cStage III),食道静脈瘤 (Ls, F2, Cb, RC0, Te),S状結腸癌...

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Veröffentlicht in:聖マリアンナ医科大学雑誌 2020, Vol.48(3), pp.129-137
Hauptverfasser: 山本, 佳穂, 小澤, 俊一郎, 中本, 悠輔, 北川, 紗里香, 野口, 陽平, 高橋, 秀明, 松本, 伸行
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は70歳男性。アルコール性肝障害とC型肝炎に起因する肝硬変,肝細胞癌,食道静脈瘤のため,当院での加療歴があるが通院を自己中断していた。最終受診から2年後に腹痛,血便あり他院に救急搬送された。精査の結果,S状結腸癌による大腸閉塞と診断されメタリックステント (self-expandable metallic stent: SEMS) を留置され退院となった。肝疾患の精査加療を目的に当院を紹介され入院となった。精査の結果,肝硬変 (Child-Pugh; Grade B),肝細胞癌 (cT3N0M0, cStage III),食道静脈瘤 (Ls, F2, Cb, RC0, Te),S状結腸癌 (cT3N3M0, cStage IIIb) の診断となった。肝病態を考慮すると,大腸癌の根治的治療は難しいと判断し,保存的加療を行うこととした。食道静脈瘤には内視鏡的食道静脈瘤硬化療法,肝細胞癌には肝動脈化学塞栓療法を施行した。それぞれの治療後に大腸癌のstent内へのingrowthと口側結腸の拡張を認め2回目,3回目のSEMS追加留置を行った。肝動脈化学塞栓療法から2か月後,腹部膨満感が再度出現し来院し,SEMS内へ腫瘍のingrowthを認めたため,4回目のSEMS留置を行った。その後,肝細胞癌の進展による肝予備能の低下を認めたため,緩和ケアの方針となり,初回ステント留置から369日後,肝細胞癌により死亡した。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.48.129